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「国民保護研修会in滋賀」(議事要旨)


 1. 日時    2012年10月4日(木) 18:00〜19:40
   
 2. 場所   野洲市文化ホール (滋賀県 野洲市)
   
 3. 主催   内閣官房/滋賀県/野洲市
   
 4. 登壇者     【主催者あいさつ】            
            荒川 敦     滋賀県副知事
            山仲 善彰     野洲市長
   
    【パネルディスカッション】        
    パネリスト   藏原 潮   西日本旅客鉄道(株) 執行役員 京都支社長
        牧    紀男   京都大学 防災研究所准教授
        市橋 保彦   内閣官房 内閣審議官
        小椋 正清   滋賀県 理事員(防災担当)
   
    コーディネーター   奥村 徹   内閣官房 NBC災害対策専門官




 ●荒川 敦 滋賀県副知事 主催者あいさつ
    荒川 敦氏 昨年の東日本大震災を例に持ち出すまでもなく、常に何が起きるかわからないという心構えを私たちは持っていなければいけないと考えます。武力攻撃やテロについても同様であると思います。
     滋賀県では平成18年4月に国民保護計画を策定しました。日ごろから常にこれを意識して、また、訓練もしておかなければいけないところです。
     今月20日に国民保護共同実動訓練を野洲市で開催いたします。実車両を使った共同訓練というのは全国でも初めてとのことです。
     本県は特に鉄道網が発達しており、人口の95%の方々は鉄道の駅から5キロ圏内にお住まいです。あってはならないことですが、万が一、鉄道でテロ等があった場合には、県内の生活経済に多大な影響を及ぼします。そのため、訓練をしておくことは非常に意義のあることだと思っております。
     常日頃から消防、自衛隊や関係機関が連絡を密にして、いざというときに備えるためにも、皆様方のご支援をいただきたいと思っております。
     今日の研修会は、専門の方々にお集まりいただいております。意識の向上にぜひ役立ててもらいたいということを期待いたしまして、ご挨拶とさせていただきます。



 ●山仲 善彰 野洲市長 主催者あいさつ
    山仲 善彰氏 今月の20日に実動訓練が実施されます。本日の研修会では、実動訓練とあわせて、国民保護への関心、あるいは実際の訓練に向けてのトレーニングをしていただきたいと思っております。
     野洲市の消防団はずっと全国レベルで活動されていますが、まず地域が力を合わせて自らを守ることが重要です。国民保護というと遠いことに考えがちですが、皆様方それぞれが自らを守る、あるいは家族を守る、隣人を守る、そういう積み上げの中で国民保護は成立するのだろうというふうに思います。
     また、日ごろからのいい関係、そういったものが安全を築き、健全な社会が自らを守れるということに繋がるのだと思います。
     今日はそういった観点も含めて総合的に自らが守られ、隣人が守られ、国民が守られる観点で研修を進めていただきたいと考えます。実りある研修になることをお願いいたしまして、開催にあたってのお礼の挨拶とさせていただきます。



 ●パネルディスカッション
   「テロに備える」〜地域における安心、安全を目指して〜

  • 奥村  パネルディスカッションの基調講演の位置づけとして、皆さんにテロの様子をまず知っていただきたい。

  • テロに備えるためには、まずテロの姿を知る

    奥村 徹 氏
  • 奥村 さまざまなテロが現在、世界各地で起きている。そのほとんどは爆弾でのテロである。日本では幸いなことに未遂の段階で防ぐことができている。しかし、それは単に我々が幸運だったということだと思われる。まず、海外での事例を見ていきたい。
     一事例目として、1996年に起きたIRAによるマンチェスター爆破事件を紹介する。
     この事件は、犯行予告があったため市民は事前に避難することができ、死者は出なかったが、負傷者200名以上の被害が出た。また、殺害よりも英国経済への打撃を狙ったものであると言われている。実際にその当時のお金で6億ポンドから7億ポンド、現在の価値では9億ポンド(1300億ドル)の被害を出した。
     二事例目として、スリランカでの爆弾テロを紹介する。
     このテロは、スリランカの女性首相を狙ったテロである。映像を見る限り、それほどの爆発ではないのではないかと思われるかもしれないが、女性首相は失明し、20名以上の方が亡くなっている。
     三事例目として、マドリッドの列車爆破テロを紹介する。
     これは監視カメラがとらえた映像である。実際に鉄道が爆破されるということがどういうことなのかを見ていただきたい。こういった危機が迫りくる現場で、どう初動で対応できるのかも大きなポイントになる。実際、爆破直後のまだ警察、消防の方が来ていない段階の写真を見ると、事故現場では、被害者同士が助け合いを始めている光景が確認できる。
     いずれにしても、皆さん非常に遠い話というふうに思われるかもしれないが、アルカイダ関係者が日本に潜入して、半年ほど日本の中で生活していたということもあった。皆様の隣にテロリストが住んでいたとしても不思議はない国際化社会になっている。
     現在は爆弾の技術も非常に進んでおり、例えば靴の爆弾の映像を見てみると、単に靴1つでこのように相当な破壊力がある。
     こういった事例を受けて対策が進められているが、対応はどうしてもいたちごっこにならざるを得ない。
     さらに、日本ではいわゆる自爆テロという形のテロは少ないが、場合によっては自爆テロということも考えられなければならない。世界中で起こっている自爆テロの多くは、このように体の回りに爆弾を結びつけて、それで自らがターゲットに近づいて行って爆破させるというタイプである。
     実際にイスラエルで起きたテロ事案を紹介する。爆破地点に近い方は亡くなっているが、ほんのちょっとした位置の違いで生死を大きく分けるということもある。
     このように爆弾テロというのは世界中で起き続けている。さらに別の事例も紹介したい。
     ロンドンの地下鉄等爆破テロのうち、イギリスのBMA House(英国医師会の建物)前で起きたテロ事例を紹介する。
     この写真を見ると、被害者の皆さん方の血潮が、建物の3階部分まであがっていた状況が分かる。医師会の建物の前でこういったテロが起きることもある。当然、英国医師会の方は、すぐに外に出て彼らの救護に当たったことは言うまでもない。
     最後に、1995年のオクラホマの連邦政府ビルの爆破事件を紹介する。
     爆弾でこんなに破壊されるものかと思われるかもしれないが、これはトラックに積んだ肥料から製造した爆薬を使って、このようにビルの半分以上が削ぎ落される被害が発生した。多数の死傷者が発生し、ビルの中には連邦職員の託児所もあったことが報告されている。テロというのは、小さい子どもを含めて無差別に攻撃してしまうというのが恐ろしいところである。
     爆弾テロにおける重症度には、爆弾の種類や不審者(爆発物)からの距離、さらには遮蔽物があるかないか、あるいは爆発したときに立っていたのか座っていたのかといったような、あるいはその空間が閉鎖している空間なのか開放している空間なのか、あるいは自爆テロ、置き去り型か、投射型か、有害物質が一緒に使われたか否かということで違いがあることが分かっている。
     今回の訓練でも、順番に行われると思うが、まず爆発が起きたときは、ほかの危険な化学物質、毒ガスのようなもの、あるいは怖い細菌兵器のようなもの、あるいは放射性物質も一緒にまかれているという可能性を最初に否定しておかなければならない。
     また、爆弾テロ事件のデータを取りまとめたジェフ・アーノルドによる研究によると、建物の崩壊を伴うような爆弾テロの場合には25%、4分の1の方が亡くなることが分かっている。それが閉鎖空間であれば8%、開放空間であれば4%の方が亡くなられることが分かっている。
     日本におけるテロ事案としては、1974年、三菱重工爆破事件があった。お昼の休み時間に大爆発が起き、8名が死亡、300名以上の方が負傷した。
     幸いにしてその後、治安当局等関係機関の努力により、こういう事件は未然に防がれている。その中でも、一例として西武鉄道の列車爆破計画事案を紹介する。
     これはロンドンの自爆テロで使われたものがTATPだというのを犯人が知り、薬局で原料の調達を図り、爆弾の製造まで成功している。製造した爆弾は、少量でも家が吹き飛ぶほどの破壊力を持っていた。
     治安当局等関係機関は連携して監視しているが、網をくぐり抜けて爆弾テロが起きる可能性があることも考えておく必要がある。
     以上、テロというのはどういうものか、それが鉄道で起きたらどうなるのかということを、まずは見ていただいた。
     続いて、内閣官房市橋審議官から国としてのテロ対応についてお話しいただきたい。

  • 政府における国民保護に対する取組みについて

    市橋 保彦氏
  • 市橋 私からは、国民保護の仕組みと、政府としての取組についてお話をさせていただきたい。
     まず、国民保護という言葉は一般的な用語とは若干違っており、万が一外国からの武力攻撃、あるいは大規模テロがあった場合に、国、地方公共団体、関係機関が協力して住民を守るという仕組みであり、自然災害は対象としていない。この法律は平成16年に有事立法の一環として成立している。具体的には、迅速な避難、被災住民への救援、被害最小化のための取組、これを警察、消防、自衛隊、県、市町村、国が一体となって行っていくことが規定されている。
     国民保護が自然災害と大きく異なる点は、犯行グループや敵に対する対処と、住民の方々を守るという2つの対処を同時並行的に行うことである。
     国民保護の対象となる事態には、「武力攻撃事態」、「緊急対処事態」の2つの事態がある。事案が起こった場合には、政府は閣議決定により、この武力攻撃事態、あるいは緊急対処事態に該当するということを認定する。この認定が行われた後、国民保護のための仕組が動き出す流れになっている。
     次に、国民保護に関する制度、仕組について説明したい。事態認定ののち、国、都道府県、市町村とそれぞれ対策本部が設置され、関係機関が一体となった取組がなされる。その際、国からの指示をもとに活動するのも自然災害との違いである。
     住民の避難にあたっては、国はまず警報の発令を行う。事態の現状や今後の予測、さらには住民の皆様に知らせるべき事項を警報として発令する。その内容は、都道府県知事を通じて市町村長に伝達され、市町村長から住民の方々に対して防災行政無線やサイレン等を用いて伝達されることになる。
     住民の避難についても、国から県に要避難地域、避難先地域が指示される。さらに県から市町村、住民へと避難の指示が伝達される。市町村長は消防、警察等と連携し、住民の方々の避難誘導を行うことになる。
     避難方法としては、要避難地域の外に避難する「域外避難」、要避難地域の中の建物へ避難する「屋内避難」の2つがある。
     テロ等の実行犯がまだ周辺にいる可能性のある大変危険な状態の中、住民の安全を確保しながらの避難となるため、関係機関が十分に連携して対応することが必要である。また、住民の皆様には市町村長の指示に従って冷静に対応していただくことも必要となる。
     もちろん目の前に危険が迫っている状態で国などの指示がないからといって一歩も動けないというわけではない。市町村長は緊急の場合には自らの判断で退避の指示ができる。また、住民の皆さん自らの判断で、例えば爆発があった場合にその建物から離れるとか、そういう緊急的な行動が必要になる場合ももちろんある。
     被災住民への救援としては、収容施設の設置、食料等の提供、さらには医療の提供などがある。これも、国からの指示に基づき市町村長の補助により県が行うことになる。ただ、これも国からの指示がなくても緊急の場合には県が実施することが可能となっている。
     武力攻撃災害の対処にあたっては、通常の災害対応と同様に、国、県、自衛隊、消防、警察等により協力して行われるということになる。
     このように国民保護については、国、県、市町村等の関係機関の連携ということが極めて重要になる。
     国としては、国民保護法制定の翌年の平成17年から国と地方公共団体が共同して訓練を行っており、これまで延べ85回実施している。滋賀県でも、平成20年に大規模集客施設の爆弾テロを想定した図上訓練を国と共同で行っており、今回は2回目である。
     これまでの国民保護共同訓練の成果としては、関係機関における国民保護の仕組の理解促進、危機管理意識の醸成、あるいは対処要領や計画等の検証、改善、さらには情報共有とか活動調整の練度向上、また関係機関相互の顔の見える関係の構築などが図られたことが挙げられる。
     今月の20日に実施する訓練は、実際の鉄道車両を用いた全国で初めての実動訓練となる。
     最後に、国民保護ポータルサイトをご紹介したい。
     ここには、国民保護の制度の仕組み、あるいは武力攻撃やテロなどから身を守るにはどうしたらいいのかなどの情報、過去の国民保護訓練の映像などが掲載されている。是非、時間があるときにアクセスしていただきたい。

  • 奥村 次に、滋賀県の小椋理事員に滋賀県における国民保護への取り組みなどを中心にお話しいただきたい。

  • 滋賀県における鉄道事故・事件とその対応について

  • 小椋 正清氏小椋 滋賀県は東海道新幹線、東海道本線、北陸本線、湖西線と非常に長距離にわたる鉄道網が発達している。さらに私鉄では近江鉄道、京阪電気鉄道などもある。今回はまず、信楽高原鐵道で起きた事故を紹介したい。
     平成3年5月14日10時35分に貴生川駅と紫香楽宮跡駅間で信楽高原鐵道とJR西日本の車両が正面衝突した。
     当時、世界陶芸祭が開催されており、JR西日本が信楽高原鐵道内に直接乗り入れを行っており、臨時列車「世界陶芸祭しがらき号」を走らせていた。この事故により、乗客42名が死亡(うちJR側の乗客30名、信楽高原鐵道側の乗客12名)、重軽症者が614名であり、わが国でも特筆すべき大惨事であった。世界陶芸祭が非常に人気があったこともあり、JR側は定員の2.5倍の乗客を乗せていた。そのため、被害者の数が跳ね上がったということも考えられる。
     事故原因は、単線鉄道において鉄道職員の判断ミスがあったことに加え、偶然信号機の不具合というミスが重なったことが明らかになっている。この事故から我々が学ぶべきことは、危機管理のあり方、この事故を防げたのではないか、そして二度と発生させてはならないということをいつまでも教訓として覚えておくべきだということだと考える。
     もう一例、テロへの認識を持っていただきたいと思い紹介する。
     平成5年8月28日、東海道新幹線の下り線の彦根付近でレールにシャックルを巻きつけて列車を転覆脱線させようという未遂事件があった。
     この事件は単なるいたずらではない。というのは、犯行声明が出たからである。現場に置いてあった犯行声明には、「政治蚊どもは巨悪を働いても誰1人務所へ行かない。」と新聞紙にボールペンで書かれていた。この事件は平成15年に時効となったが、明らかに鉄道を狙ったテロが滋賀県で発生しようとしていたのである。もしチェーンが切れておらず脱線転覆していた場合、乗客約320名に影響が及んだ可能性があった。鉄道事故の場合、飛行機とは異なり搭乗者名簿あるいはパスポートがないため、乗っている乗客の把握が困難なのが特徴である。
     この2つの事例から学んだり、あるいは教訓として、滋賀県として何か対応しないといけないだろうと、それが交通の要所である滋賀県のある意味で責務であろうと考え、全国に先駆けて鉄道テロ対策マニュアルを策定した。策定には、2年を要した。また、その前後で平成18年度には爆発テロ対応、平成19年度には有害物質漏えい等への対応、さらは平成20年度には避難、救援のマニュアルも作成している。
     鉄道テロ対策マニュアル策定後には、実効性を検証するために是非とも訓練をということで内閣官房に相談したところ、一緒に行うこととなった。本来であれば昨年実施予定であったが東日本大震災のために1年遅れ、ようやく今年実施するに至った。
     最後に、滋賀県の危機管理全般の体制について説明したい。
     緊急対処事態、武力攻撃事態は滋賀県国民保護計画で、大規模事故、原子力、地震、風水害等は滋賀県地域防災計画で、それぞれ県の対処体制を定めている。地震を例にとれば、震度6以上の地震が発生した場合、知事を本部長とする災害対策本部が設置される。また、これ以外のカテゴリーとして、新型インフルエンザ、あるいは鳥インフルエンザ、BSEなどがあり、それらについてはそれぞれ農政水産部などの所管部局があり、その部局と調整の上、防災危機管理局がこれら危機管理事案に協同して対応するという形を取っている。
     このように、滋賀県としては、様々な危機に的確に対応できるよう、日頃から体制の整備に努めている。

  • 奥村 続いて、京都大学防災研究所の牧准教授に危機への備え方について、お話しいただきたい。

  • 危機に備える

  • 牧 紀男氏 私からは、危機対応のあり方について簡単にお話をさせていただきたい。
     審議官、理事員の話から、自然災害と武力攻撃事態、テロの事態は対応が違うことを知っていただけたと思うが、初期段階ではこれがテロなのか、それとも武力攻撃事態なのか、それとも単に事故で爆発したのかというのは分からない。したがって、備える側の市民、一般の立場からすると、地域の防災力を高めておくことが非常に重要になると考える。具体的には、簡単に言うと敵を知り己を知れば百戦危うからずで、一体どういう事態が発生するのかのイメージを持っておくことが非常に重要だと考える。
     例えば、先ほどの海外での事例を通じて、あんなことが起こるのだということをある程度頭にきっちりと叩き込むことが非常に重要である。
     また、その場合の対処要領についても、国民保護計画に記載しておくことが重要である。
     さらにその後の対処要領についても、訓練をすることが非常に重要になってくる。したがって、全てのパーツを回していくことが危機管理をすることだと考えている。
     危機対応にあたっては、正しい情報をきちんとつかむ、これが一番重要である。判断に困ることを皆さんお悩みだと思われるが、実は危機管理をやる上での判断というのは非常に難しい。
     災害の情報として何を皆さんが求めるかというと、お亡くなりになった方がどの位いて、けが人はどの位いるかといった外的な状況について情報を求める。もう一つ危機対応で非常に重要なのは、災害対応、要するに警察や消防がどの位来ていて、医療チームがどの位来ているかという情報である。
     あとはその2つの情報を含めて、分かりやすく伝えることも重要である。
     それから、関係機関間の連携については、災害対応にかかわる機関が参集し、そこでオーバーラップするのではなくお互いに情報を交換しながら対応していくことである。これは非常に重要なことで、一機関だけの情報だけでは危機対応はうまくいかない。さまざまな機関が集まり、情報を共有して、それに従って正しい判断をしていくことが重要であり、危機対応の鍵であると考える。
     市民の方に3つのメッセージを伝えたい。
     1点目は状況を正しく判断することである。日本の場合、情報と一言で言うが、英語では「インフォメーション」と「インテリジェンス」の2つに分かれている。デマなのか何なのかわからない、そういう情報(前者)と確証を持って正しいと認識された情報(後者)があり、災害時には正しい情報を使って正しく判断をしていくことが非常に重要となる。
     2点目は、2次被害を出さないことである。決まった手順は、きちんと守らないといけない。
     3点目は、日本で避難というと避難所に行くことだと考えられる場合が多いが、例えば原子力、それから化学兵器、そういった事態の場合は自宅に留まることも非常に重要な避難になる。

  • 奥村 次に、JR西日本の藏原京都支社長に鉄道におけるテロ・防災対策についてお話しいただきたい。

  • 鉄道におけるテロ・防災対策

  • 藏原 潮氏藏原 事業者としてどう取り組んでいるのかを簡単に説明したい。
     1つは未然防止の取組、もう1つがそうはいっても万が一に備えてという2つを大きな柱にしている。
     未然の防止としては、警戒警備をしっかりしていくことが大きなポイントだと考えている。具体的には、警察の皆様方にご協力をいただき、警察犬による巡回パトロールをしたり、あるいはごみ箱が標的にされる機会が多いため、中身が一目で見えるごみ箱を設置している。また、テロ対策を強化する場合には、これを撤去、あるいは封鎖をするといったような取組も行っている。併せて、例えば駅や車内の放送でお客様に協力を依頼するとか、あるいは監視カメラも設置している。さらに、お客様にはなかなか目に触れない重要設備についても整備強化などを進めている。
     また、テロ以外にも様々な事故を未然に防ぐために、リスクの洗い出しを行い、リスクをなるべく小さくする取組も行っている。
     次に、万が一あった場合には、1つはとにかくお客様の救護を最優先でやっていくことと、同時に被害の拡大を何とか防ぐということの2点が重要だと考えている。
     信楽高原鐵道事故、あるいは尼崎での事故を踏まえ、大きく3点の取組が重要であると認識している。
     1つ目は、併発事故の阻止である。鉄道の場合は複線の場合、対向側から列車が走ってくる場合があるため、これを社員として責任を持ってすぐに止めることが必要であると認識している。
     2つ目は、お客様の救護を十分に行うことである。
     3つ目は、情報をどう集めて、それをどう整理をしてどう圧縮していくか、あるいは関係機関の方々とどう連携を取っていくかである。
     また、万が一発生した場合に備えて、訓練を実施すること、ひとりひとりの社員がしっかり心構えを持って、何かあったときにきっちりした対応が取れるようにすることが重要と考え、取り組みを行っている。
     訓練の実施にあたっては、当社独自で実施するものに加えて、出来る限り関係機関の方々と連携した形での訓練も重視している。
     最後にお客様にお願いしたいことが2点ある。
     1つ目は、鉄道の駅、あるいは車内で不審者、あるいは不審物を発見した場合には、できる限り近くの社員に通報いただきたい。
     もう1つは、不審なものを発見した場合は、近づかない、触らない、嗅がない、動かさない、以上の4つを守っていただきたい。

  • 奥村 では、これからパネリスト間での意見交換を行いたい。

  •  テロとか武力攻撃とか判明するまでの初動段階の対処要領について伺いたい。
  • 市橋 テロだと分かるためにはある程度時間がかかる。テロかどうか判明しない状況でも、消防・警察といった実動機関は、住民の救助に当たる。立ち入り禁止区域の設定や避難指示等も消防法、警察官職務執行法などに基づき行うこととなる。
     また、県や市も事態認定前であっても連絡本部や連絡室を立ち上げて、必要な情報収集、関係機関との連携に当たることとなる。その場合、事態認定前でも国から必要なアドバイス、情報提供などを行う。
  • 小椋 県では、県民の安全、安心に関わるものに包括的に対応していく危機管理体制を構築している。また、県の6つのブロックに地域防災監を設置しており、市町村や関係機関と連携し対応する。
  • 藏原 事故が発生した場合には、まず支社のメンバーが現場に向かい現地対策本部を設置する。また、事故の規模によっては本社にも対策本部が設置され、併発事故の防止、お客様の救護、情報収集にあたる。
  •  
  • 市橋 警察、消防などの関係機関が参集する前の事業者間の連携体制はどのようになっているのか。また、主要なターミナル駅など、情報共有先が多い場合の情報共有方法はどのように考えているのか。
  • 藏原 情報の共有化は5つのフェーズ(@警察・消防、A国土交通省・近畿運輸局、B県庁・市役所、C他の輸送機関、Dプレス)に分けて考えており、他の輸送機関とも情報共有が行える体制になっている。また、情報の共有先が多い場合には、行政機関等を通じて情報提供を行うことも考えられる。

  • 市橋 滋賀県では、平成20年度に図上訓練を実施されているが、その時の成果とその後の対応について伺いたい。
  • 小椋 訓練を通じて、必要な情報があがってこないこと、情報の整理が難しい、情報の優先順位の判断が難しいことを体感した。そのため、情報の重要度、関係機関との共有方法のポイントを具体的に書き上げ、マニュアルに反映した。
  • 市橋 訓練を通じて問題点や課題を見つけ、次につなげることも、訓練を実施する大きな意味である。
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  • 奥村 情報の取り扱いについて、専門的な観点での意見を伺いたい。
  •  危機対応時に情報を扱う際のポイントは、初めの段階では必要な情報はほとんど入らず、そのあと情報があふれるようになることを、あらかじめ認識しておくことである。つまり初期段階では、情報が入手できない中で対処が求められる。
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  • 奥村 最後に、各パネリストに最も重要であると思われる点、強調したい点について伺いたい。

  • 市橋 国民保護に関心を持っていただきたい。また、自らの身は自らで守るという認識も持っていただきたい。
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  • 小椋 日本でも滋賀県でもテロは起こり得るという認識を持ち、ひとりひとりがこの地域、家庭を守るという意識を持ち、高めていただきたい。
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  •  もしかしたら起こるかもしれないというふうに考え、備えておくということが命を守る上で非常に重要である。
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  • 藏原 不審者、あるいは不審物を発見した場合に、できる限り近くの社員に通報いただくことで、未然防止につながる。
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  • 奥村 本日の研修会や訓練への参加を通じて、緊急時の対応のあり方を家庭や職場などで議論するきっかけとしていただければと思う。ご清聴ありがとうございました。
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