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  「国民保護研修会in北海道」(議事要旨)


 1. 日時 2015年10月28日(水) 18:00〜19:40
   
 2. 場所 大雪クリスタルホール(北海道 旭川市)
   
 3. 主催 内閣官房/北海道/旭川市
   
 4. 登壇者 【主催者あいさつ】    
    紺谷 ゆみ子 北海道上川総合振興局長
    西川 将人 旭川市長
   
  【パネルディスカッション】    
   パネリスト 大庭 誠司 内閣官房 内閣審議官
    佐藤 嘉大 北海道総務部危機管理監
    浅井 康文 函館新都市病院名誉院長・理事
    坂東 元 旭川市旭山動物園長
   
   コーディネーター 佐藤 喜久二 (株)総合防災ソリューション 特任参与




●紺谷 ゆみ子 北海道上川総合振興局長 主催者あいさつ
 
 本日はお忙しい中研修会にご参加をいただき心から御礼を申し上げます。
 本日の研修会は、来月19日に予定されている平成27年度北海道国民保護共同実動訓練に先立ち、冬季のテロ対策、集客施設におけるテロへの備えということをテーマに実施するものです。
 国民保護法は、武力攻撃や大規模テロなどがあった場合に国民の皆様の生命と財産を守るという目的で平成16年に制定されています。法律制定後、幸いなことに国内での武力攻撃事態や大規模なテロは発生しておりません。しかし、皆様もご記憶にある東京地下鉄サリン事件が発生したほか、世界の各地で紛争や武力衝突は止むことがなく、今年になってフランスの週刊誌編集長などへの襲撃やバンコクの爆弾テロ事件の発生など、大規模なテロなども頻発している状況です。
 このような世界の現状からいつ起きるかわからない大規模なテロを想定することが必要であり、その時にどのように動いて、いかに被害を最小限にとどめるかといった備えをしていくことが重要と考えています。来月19日はここ旭川市において大規模な化学テロを想定して、国、旭川市、北海道のほか関係機関や地域住民の皆様の参加のもと共同実動訓練を実施いたします。
 冬の寒さの中、救急搬送や避難誘導などの手順を確認する貴重な訓練となります。皆様にはこの機会に国民保護法やテロ対策など万が一の対処方法について考えて頂く機会にしていただければと思っております。
 本日の研修会が皆様にとりまして有意義なものとなりますよう心からお祈りをして、ご挨拶とさせていただきます。



紺谷ゆみ子
●西川 将人 旭川市長
 
 本研修会は内閣官房、上川総合振興局、北海道、そして私ども旭川市が主催となり、来月19日に実施する国民保護共同実動訓練に先立って開催するものです。
 実動訓練は、東光スポーツ公園を一つの会場として、サリンが散布されるという想定にもとづいて、自衛隊、警察、消防、医療機関などの様々な機関と連携しながら行います。負傷された方の救出・救助、除染、応急救護、搬送、そして医療救護から避難所の運営など一連の対応について行う大掛かりな訓練になります。道内では4年ぶり3回目の実施となりますが、冬場の寒い時期での訓練であり、本市においてもこれから本格的な冬を迎える中で、寒冷地におけるテロ対 応ということでは非常に意義のある訓練と考えています。
 各機関の機能・役割を確認しながら、万が一の非常事態における相互連携のあり方についてシミュレーションを行いながら、この訓練を是非意味のあるものにしていきたいと考えております。
 本日の研修会では、大庭内閣審議官をはじめ、佐藤危機管理監、浅井名誉院長、旭川市からは旭山動物園の坂東園長、コーディネーターは佐藤特任参与にお願いをしていますが、貴重なお話により、テロ等が発生した場合の避難、救援活動等について会場の皆様方のご理解が一層深まることを期待しております。
 結びに、本日の研修会そして来月の訓練に当りまして大変ご尽力をいただいております内閣官房、そして北海道の皆様方に心から感謝を申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。


西川将人
●パネルディスカッション
   冬季のテロ対策  〜集客施設におけるテロへの備え〜

冬季におけるテロの特徴と想定される課題

  • 佐藤
  •   佐藤 喜久二 氏
     最初にパネルディスカッションの導入として、冬季におけるテロの特徴と想定される課題ということで話をします。
    初めにテロの特徴ですが、一つ目は、イスラム国のように、プロのテロ組織によって無差別で大規模なテロが行われているところです。彼らは豊富な資金力を背景として組織的に活動し、従来のテロリストと違って、領土を確保するということをやっています。そして巧みな宣伝活動によって、世界各国から若者を集めているという特徴もあります。
     二つ目の特徴は、ホームグロウンテロリストによるテロです。これは、政治とか社会に不満を有する若い人たちが、何らかの形で感化をされて自分が生まれ育った国でテロを起こすというテロです。例としては、ボストンマラソン爆破テロがそうです。
     三つ目の特徴は、不満分子による伝統的なテロです。反政府勢力の人達が現在の政府を困らせようとテロを起こすことです。例えば今年の8月にタイのバンコクで発生したテロが典型的なものです。
     次に、積雪寒冷地がテロ活動にどういう影響を及ぼすかについて話をします。
     まず一つ目の「積雪」です。これは私達から見ますと孤立性を高め、あるいは行動を制約するという特徴があると思います。実はテロというのは被害を起こすことが目的ではなくて、それによって社会に不安を拡大させる。これが彼らの本当の狙いです。したがって孤立性を高めるということはマスコミを通じて地域住民の不安を増大させることが出来るということです。一方で、関係機関にとっては状況把握が難しく、迅速な現場活動に制約を受けるという特徴があります。
     二つ目は「寒冷」です。これは窓を閉め切ったりして建物の機密性があがると例えば爆発物とか、あるいは化学剤の使用の効果を高めるといった特徴があります。テロリストにとって被害を拡大できるメリットがあるわけです。一方で関係機関にとっては、迅速で適切な対応ができない、人的被害を拡大するというようなデメリットがあります。
     三つ目は「凍結」です。これは屋外での移動に制約を受けるということです。テロリストにとっては、例えば犯行後逃げる時に交通事故というような二次災害を起こすとか、あるいはその結果として新たなテロを起こすとか、そういうことが考えられます。もちろん関係機関にとっては、迅速な現場対応に制約を受けることになります。
     次は、積雪寒冷地の特性を踏まえたテロ対応という行動において、想定される課題を4点お話します。
     一つ目は、初動期に関係機関がいかに連携をとれるかということです。特に、国とか現地機関が、今何が起きているのかということについて、共通の認識が持てるかどうかというのが非常に大きなポイントになります。
     二つ目は、いかに発災現場で被害の軽減を図れるかということです。これには集客施設で冷静、的確な避難誘導ができるのかとか、あるいはそこに居合わせた地域の人達が持っているいわゆる自助、共助の能力、つまり助け合いの能力などが大きく影響すると思います。
     ポイントは、テロが起きた時の気象状況に配慮した一時退避施設とか収容施設、あるいは輸送手段の確保とかが上手くできるかどうかということです。この際非常に大事なことは、災害時要援護者への配慮ということです。これが不適切な場合には、二次災害に繋がります。
     三つ目は、周辺住民に対して、テロリストの思惑に乗らない正確迅速な情報の提供ができるかということです。テロは不安を拡大させることが目的ですから、テロの後、マスコミを通じて大々的に宣伝をする。これを早く察知して、地域に不安が起きないようにしないといけないと思います。
     四つ目は、発生した事態に即した応急対処体制が構築できるかということです。積雪寒冷地の特性の一つは状況が不明だということですので、仮に状況が不明な中であっても、冬季の特性を踏まえて、最悪事態を想定し、その最悪事態に対応できるような救助・医療救護の体制を構築することがポイントだと思います。
     以上、冬季におけるテロの特徴あるいは想定される課題について申し上げましたが、これからは4人のパネリストの皆様から意見を発表していただきます。それでは大庭審議官からお願いします。


    政府の国民保護の取組

  • 大庭
  •   大庭誠司氏
     政府の国民保護の取り組みについて、3点お話をします。
     はじめに、我が国における危機管理体制についてですが、地震災害、風水害、原子力災害、大規模殺傷型テロ、武力攻撃事態、邦人救出、サイバーテロ、こうしたあらゆる事態に対し、危機管理監をトップとした組織が一元的に取り扱い、政府としての対処を行っています。
     一方で、内閣府防災という組織があります。大きな地震があると、危機管理監の下に各省庁が集まって初動体制を確立し、暫くして対応が落ち着くと、内閣府防災にその体制を引き継ぎます。例えば避難所の開設や食料品の供与等の総合調整については、内閣府防災が実施します。
     危機管理における情報収集は、内閣情報集約センターにおいて、24時間体制で国内外の様々な情報を集約し、危機管理監、あるいは官邸の危機管理センターに提供しています。事案が大きくなると、関係省庁の局長クラスの緊急参集要員が集まり、情報を共有した上で、官邸に報告することになります。
     全体像としては、内閣官房、内閣府という組織と、各省庁というイメージです。内閣官房や内閣府は政府全体の総合調整をし、各省庁は、それぞれ専門的な対応をします。
     一方、地方自治体の状況ですが、危機管理専門幹部、すなわち、全庁的な調整をとれるような幹部を配置している市は、消防庁の調査では、全国で36%、配置していないのが64%。北海道内は少なくて、配置している市は20%、配置していないのが80%という状況です。
     大事なのは、何かあった時にその人に話をすればすべて組織内部局を調整できる権限を持っていること。こういう仕組みはぜひとも道や各市でも作っていただきたいと思っています。
     次に、我が国の救助や救援を行う実動組織について、国の組織では、概数で、自衛隊25万人。海上保安庁1万3千人。地方の組織は、警察官28万人。消防官が16万人。消防団員が86万人。消防団員の方は日頃仕事をしながら、いざという時に駆けつけていただいているので、実動組織の中に入れています。いざ災害が起きたときに、例えば警察であれば、警察官の中から広域緊急援助隊という枠組みで5600人が登録されています。消防であれば、全国の消防本部から緊急消防援助隊という枠組みで4700隊弱が登録されています。
     一方で、医療の枠組みの中で、大規模な災害時に医師や看護師が駆けつけてくれるDMATという組織があります。東日本大震災のときには1500人の方に活躍していただきました。それから国土交通省が所管するTEC-FORCEという技術者を中心とした集団ですが、平成27年9月関東・東北豪雨災害では、このTEC‐FORCEが災害後2日くらいで仮堤防を作り、またポンプ車を全国から集めて排水しました。
     いざ災害になったら動き出すという組織は、これらを全て合わせても日本の人口の1%強くらいです。ということは、大きな災害が起きたときに、なかなか助けられないというのが現状です。皆様は何かあれば消防車、救急車が直ぐ来てくれると思いがちですが、本当に大きな地震のときには、公的機関は皆様のところまでは手が回りません。阪神・淡路大震災時の西宮市では、家族や周りの人に助けられた人が98%、公的機関に助けられた人は2%しかなかったという報告もあります。そういう意味でも、今日も自主防災組織の方々がおられると思いますが、この組織の力が非常に大きな力になります。
     最後に、武力攻撃とかテロがあったときに、住民を守るための仕組みです。対象が2種類あります。武力攻撃事態、いわゆる有事と、緊急対処事態、例えば大規模なテロというもの。いずれにおいても国民を守るための仕組みが国民保護です。平成15年、16年に武力攻撃事態法や国民保護法が整備されました。
     避難については、国が指示をして、それを都道府県、市町村で具体的に実施するという仕組みです。救援については、自然災害で言えば災害救助法の内容に近いものです。都道府県や指定都市が避難所の開設や飲料水の提供などを行います。そして災害への対処という事で、警察、消防、自衛隊が、除染なども含めて対応するということになっています。
     訓練については、全国の都道府県の中には、国との共同訓練を7回も9回もやっているところもありますので、是非引き続き訓練をしていただきたいと思っています。


  • 佐藤
  •    今大庭審議官から、我が国の危機管理体制と国民保護の概要についてお話をいただきました。国の危機管理体制が充実している一方で、地方自治体の危機管理体制は、まだまだこれから充実すべき点があるということがおわかりいただけたと思います。
     引き続き、佐藤危機管理監から北海道の取り組みについてお話をいただきます。


    北海道における国民保護の取り組み

  • 佐藤危機管理監
  •   佐藤嘉大氏
     北海道における国民保護の取り組みについて、防災という視点を交えて話します。
     はじめに、北海道の国民保護計画を簡単に説明します。
     計画は5編から成っています。第1編の総論では、道、市町村の責務、北海道の地理的社会的な特徴を書いています。第2編は関係機関との連携、研修、訓練など、平素からの備えというものを書いています。第3編が武力攻撃があった場合の警報伝達、避難の具体的な対処方法を書いています。第4編が復旧について書いています。第5編は、第3編にある武力攻撃以外の、いわゆるテロといったものについて書いています。この国民保護計画というのは、なかなか馴染みのない計画ですが、北海道のホームページにもありますので、是非ご覧になっていただければと思います。
     北海道と国民保護とのかかわりについ話します。世界では大規模なテロも発生していて、日本国民もテロに巻き込まれる事態というのも最近出てきています。北海道では、様々なイベントが開催され、観光地も多く全国各地、海外からも多くの観光客が訪れています。この旭川にも、旭山動物園という年間160万人以上の来園者がある動物園もあり、ある意味テロの標的にもなりやすく、平成12年には、よさこいソーランで、ごみ箱の中に置かれた爆発物が炸裂して、多くの負傷者が出たといった事件もあったところで、北海道もテロ対策に無縁ではいられないということではないかと思います。
     それから、北海道というのは、他県に比べてはるかに広大な面積を有しております。しかもその中に札幌という大都市もあり、それから地方都市が広大な土地に点在しているということで、他の県とは違った防災上の難しさというのを持っています。四方を海に囲まれて長い海岸線を持って、広大な土地にコンビナートや発電所など重要施設がありますが、そういったものが点在しているということで、テロに狙われる可能性があるのではないかということを常に念頭に置いておく必要もあります。
     次に、北海道の取り組みということについて話をします。北海道における国民保護に関する取組状況ですが、過去2回テロの訓練がありました。今回、道が実施主体となる国民保護訓練は、旭川市で11月に行われる訓練で3回目ということです。
     今回の訓練は、冬季にテロが発生した時にどういうふうになるのかということが、訓練の一つの主眼となっております。こういう国民保護に関しては、テロとか武力攻撃は、敵とか犯行グループが存在するという点で、テロと一般の防災とは違いがありますが、救援とか救難、避難という点では、自然災害の対応と共通するものも非常に多いと考えております。
     今年度、道が主催または参加した防災訓練について説明しますが、一つは北海道防災総合訓練というのがあり、本年度は留萌から稚内までの地域で大きな地震があって津波が発生したことを想定しながら、災害対処訓練というのを行っています。
     この他に、ノーザンレスキューという訓練。今年の8月に陸上自衛隊が主催して行った訓練で、これも釧路、根室、十勝の太平洋側で大きな津波があったということを想定した、より実践的に近い訓練に取り組んでいるというのが今の北海道の状況です。
     テロの話に戻りますが、今道庁がやろうとしていることは、テロを未然に防ぐという部分ではなくて、テロが起こったときにいかに対処するかという部分になります。テロを未然に防ぐという部分は、テロ対策北海道パートナーシップという組織を作り、道警察が窓口になっています。
     それから、他機関との連携というのが、テロや防災においては大変重要な役割を果たすということで、道庁の中には、北海道警察、それから札幌市消防局、札幌管区気象台、それから陸上自衛隊など様々な所から要員の人事交流という形で顔の見える関係を作りながら連携を取っています。
     最後になりますが、11月19日に国民保護共同実動訓練が開催されます。冬季に旭川市内でテロが起こったときに、どういう対処をすれば良いのかということを実際にやります。こういう機会を通じて、北海道は市町村と、国、関係機関、それから道民の皆様と共に防災力の向上というものを図っていきたいと考えています。
     


  • 佐藤
  •    佐藤危機管理監からお話をいただきました。北海道は国際会議やイベント、祭り、それからインフラといった様々なことを踏まえてテロ対策の必要性を認識し、その上で北海道の特性や課題を踏まえながら、体制の整備や訓練をやってきている現状について話を伺いました。  それでは、浅井先生お願いします。


    NBC災害について

  • 浅井
  •   浅井康文氏
     冬季のテロ対策について、集客施設におけるテロへの備えという事で、NBC災害について話します。
     まずギャザリングという言葉があります。これは共通した目的と100人以上の人員が同一時間、同一地域に集合するものということで、特に国際的イベントにおけるギャザリングでは、通常の災害以外にも、テロリズムなどに起因する特殊災害に対する人員も考慮するということで、まずギャザリングという言葉を覚えてほしいと思います。
     その筆頭がオリンピックです。こういう時にやはりテロというのが起こると思います。また帯広で始まったワールドラリーチャンピオンシップですが、こういう時も沢山の人が集まり、また50周年記念の雪まつりは、30万人の人が集まってくるということで、テロが起こる可能性はあります。
     NBC災害という言葉があります。「N」というのは原子力発電と核です。やはり中心になるのは「BC」で、生物、代表が炭疽菌。「C」が化学でサリンです。東京地下鉄サリン事件は1995年ですが、1994年に松本サリン事件が起こっております。それが世界で最初です。
     最近は、NBCでNというのはなかなかないということで、CBRNEという言葉も言われております。頭をとっての「化学」「生物」「放射性物質」「核」「爆発」です。それをとってCBRNEという言葉が民間防衛に使われております。
     生物テロですが、炭疽菌とか天然痘とかペストとかボツリヌスとか、そういう名前は聞いたことがあると思いますが、こういうのがテロに使われる可能性があります。一番簡単なのは炭疽菌で、白い粉なので、例えばメリケン粉をパーッと撒いても、それがメリケン粉か炭疽菌か分からないので、皆パニックになるというわけです。炭疽菌は接触感染です。天然痘は今全世界にありませんが空気感染です。ペストが飛沫でエボラが接触です。
     2001年の米国同時多発テロですが、この後、炭疽菌のアンスラックス・レターというのが起きました。フロリダで、実際に炭疽菌で一人死亡しております。
     天然痘は、実は自然界ではありません。この株を持っているのはアメリカとロシアです。テロ組織がその株を入手して、遺伝子操作をして世界にばら撒いたら地球が滅びるという可能性があります。
     化学テロの代表的なものは95年の地下鉄サリン事件です。このサリンは何であるのかというのが最初は分からなかった。それが分かったのは患者さんの縮瞳です。目が縮瞳しているので、それを見て有機リン中毒じゃないかという事で治療をしました。PAMとか、硫酸アトロピン、それをあたっていたわけです。この判断も非常に重要でした。
     第9回日本集団災害学会は、札幌消防と一緒に共同して冬季のテロ対策、サリンの想定でやりました。その時の北海道新聞には冬の寒冷地での訓練は全国で初めてということで、報道されました。
     サミットの時も、事前に防護マスクとか除染をやっております。衣服をはがして水をかける除染をやりました。冬期間は注意しないと低体温になり、なかなか難しい。
     放射線が難しいのは、五感で感知できいということです。テロにはポロニウムとか使って、イギリスで一人殺されています。
     爆発というのは、1976年に旧北海道庁で爆発があり、死者が二名出ました。  よさこいソーラン2000年では、夜の10時過ぎに、踊る現場のゴミ捨て場の所に数百本の釘、それの頭を取ったのが爆発して、心臓の所を貫いた人が運ばれてきました。一番重要な左心室の所に穴が開いて大出血をして心肺停止になっており、これを救命しました。救命というのは非常に大事です。
     何かあった時は、連携が重要です。北海道防災航空室や、ドクターヘリも今4機北海道に飛んでおります。あと札幌消防が2機、北海道警察もたくさんあります。海上保安庁、最後は当然陸上自衛隊が色々協力してくれます。こういう連携が必要です。
     DMATですが、北海道でも救命救急センター、三次医療機関を中心に作っています。
     最後になりますが、NBC共通の特徴としては、大量被災者の設定とか集団災害です。マス・ギャザリング。滅多に起こらないという事で、こういう講演会とかそういう訓練を一緒にやった方が良いと思います。



  • 佐藤
  •    浅井先生から集客施設におけるNBC災害の対応というお話をいただきましたが、主として北海道の中で行われた様々なイベントの背後で専門の方々が集団災害というものを念頭に置きながら、様々な取り組みをしてきたというのが良く理解いただけたのではないかと思います。
     それでは、最後になりますが、坂東園長お願いします。


    冬期のテロ対策 ( in Asahiyama Zoo )

  • 坂東
  •   坂東元氏
     旭山動物園は160万人以上の人が来られていることを考えると、テロとかそういうことが起きないとは限らない場所になって来たのかなと思います。うちの動物園自体が日頃、危機管理みたいな部分でどんなことをしているのかということから話をします。
     日頃の備えということですが、動物園にたくさん人が来るようになって、今は園内を巡回している警備員が5名、看護師さんも常駐してもらっています。多分日本の動物園ではここだけだと思いますが、そういう体制をとるところまで来ました。特に、看護師に関しては、ほんのちょっとした怪我、蜂に刺されたりとか、棘が刺さったりとか、昔はそういうことがあった場合は事務所に来たら、自分も獣医なので、診なければならないところがありました。だけどそれでは対処しきれないようなことが本当に起き始めて、例えば夏場に観光で来られた人が熱中症になり、本当に心肺停止までいってしまったことがありましたので、看護師に常駐してもらうということにしました。
     あと警備員ですが、本当に残念なことというか、夏場のお客さんが多い時はスリの常習犯が入って来るというようなことが起き始め、また、最近は盗撮とか結構起きます。
     飼育の大原則は、どういう飼育をするかという以前に、動物を逃がすなということで、昔は先輩から、逃げたらもうその動物は殺す覚悟でやれということを言われていました。ホッキョクグマの動物舎に入る時は、担当者だけ入っていくのですが、中に入ったら扉を全部閉めて、中に自分が閉じ込められる状況を作って、そこから動物の出し入れとか作業を始めるという仕組みをとっています。だから、最終的には、自分がやっているので、自分がやられるのはもう止むなしというわけです。だけど動物は外に出さないという施設になっています。ホッキョクグマの施設は、扉は全部二重扉で閂(かんぬき)というのがついています。クマは器用に閂を外せるので、小さなドアロックをつけています。寝室も二重ロックで鍵があります。変な話ですが、最近刑務所の方の視察が結構あって、どうやって動物を出さないようにしているのかを見に来られたということもあります。
     人の安全ですが、観光客が増えて、想定しないような事故に繋がりかねないことというのが何回かありました。代表的なものとして、お客さんの人止め柵です。ここから入ってはダメですというものです。1日1万人以上来ているような熱い夏場でしたが、子供が柵の中に入ったということで駆けつけたのが、チンパンジーとホッキョクグマの所です。そこに入った子供は1歳過ぎくらいの小さい赤ちゃんでした。ハイハイして入っていったそうです。そんな小さな子がハイハイして入るなんて本当に想定していなかったです。あわや大事故という寸前だったということがありました。
     冬季のテロ対策ということで、うちの動物園もいろんなVIPの方が来られます。皇族の方が来るときに、園内を事前にSPの方が見て、真っ先に言ったのが「この雪山はどうにかならんのか」と言ったのです。北海道の冬は道路だろうがどこだろうが雪山だらけです。それはどうしてですかと言ったら、この雪山に隠れられたらどうするんだと言われたのです。それはもう驚きました。
     最後ですが、もしも自分がテロリストだとして動物園でテロをやろうと思ったら、間違いなく高病原性鳥インフルエンザ、H5N1みたいなものをペンギンに感染させるというのが一番のテロだろうと思います。実は動物園の動物というのは、法的な部分ですごく曖昧な位置づけになっていて、例えば人に病気が出れば、厚生労働省だとかいろんな系列の所が動くと思います。だけど、家畜と言われている鶏に出れば、当然農水省は一気に動きますが、それではペンギンに出たときに、どこがどういう判断で動くかというと、実はありません。だから、もしもうちの方でペンギンに出たと言ったら、当然うちが判断をしてペンギンを全頭どうするかという話になってきます。こういうような事があったときには、多分対処が基本的にはできない状況と思います。動物園というのはいろんな動物の命を預かっていますがもし動物園でテロ、こういうことが起きたら大変なことになるだろうなということで、最後閉めさせていただきます。



       

    ディスカッション

  • 佐藤
  • ディスカッション
       坂東園長から、旭山動物園における冬季のテロ対策というお話をいただきましたが、もしも微生物テロというような話があったら、動物園で飼っている鳥から、鳥インフルエンザウイルスが人にうつり、飼育員にうつり、飼育員から隣の飼育員に。つまり人人感染して、そしてそれがまったく私達の経験しなかった新型インフルエンザの流行といったことも有り得るということでした。
     これからはテーマを2つに絞って、ディスカッションを進めていきます。
     1番目のテーマは、国、道、医療機関における、国民保護にかかわる取り組みについて意見交換をしたいと思います。
     最初に大庭審議官にお伺いしますが、今年11月に行われる訓練はどんな特徴を持っているのでしょうか。



  • 大庭
  •    皆様はこの寒い北海道で何の実動訓練をするのだろうという疑問があるかと思いますが、今回は、旭川ドリームスタジアムでサリンが撒かれた。それから道内各地で爆破テロが発生するという想定です。
     主要訓練項目として、被災者の救出救助、除染といった初動対応訓練、それから医療機関の訓練などを行う予定にしています。その中でも特に特徴的なものとして、厳しい寒さの中で行う「除染」だと思います。化学剤が撒かれたときに、被災者に対する被害を小さくし、二次被害が及ばないようにするには、化学剤が付いた服を脱がせる。そして水で洗うということがすごく大事になってきます。ただ、服を脱がせる、水をかけるということが、11月の旭川でできるのかという問題もあります。一方、被災者をはじめ、救助にあたる消防隊員や警察官の安全も守らなくてはいけない。水で洗った後に、とにかく早く体を拭いて、救護施設に入れる時間を短くする。
     そういう工夫が出来ないかというところを大きな課題としています。
     それ以外に、ブラインド方式として、最初のシナリオ以外のシナリオを実動部隊の方に提示して、それに対応するような訓練を考えています。


  • 佐藤
  •    次に、佐藤危機管理監におたずねしますが、北海道の広域性という特性を踏まえると、何か起きた時に、初動対応で地域レベルでの関係機関の連携が非常に重要だと思いますが、今回旭川市でテロ災害が起きたときに、道の出先機関である上川総合振興局に期待する役割は何でしょうか。
     

  • 佐藤危機管理監
  •    北海道で起きた災害に対する責任者は知事であり、知事が災害に対する指揮を持ちます。ただ、テロの場合には、最初、テロが起きたのか、何か別の災害が起きたのか。それが何なのかというのが分からないとき、災害であるのは間違いないとなったときに、道庁が災害対策本部を立ち上げます。それが立ち上がったときに、自衛隊、道警察、消防、開発局、そういった防災関係機関が道庁にすべて集合し、災害対策本部を作って、情報収集から様々な対処を指示していくことになります。
     北海道は14の振興局。それぞれが総合出先機関、本庁のミニ版という形で、それぞれの機能を持っています。旭川で災害、テロなどがあった場合には、上川総合振興局に自衛隊、旭川市内の警察署、旭川市消防などの防災関係機関が集まって、そこが現地対策本部になる。道庁には道の災害対策本部。これは知事がトップです。旭川では振興局長を頭にして、現地対策本部ができる。そこで、まずできることを地元の振興局、振興局に集まる実動部隊で状況を把握して本庁に伝えると同時に、やれる避難対策や防災対策を次々打っていく。そういったものが役割と思っています。


  • 佐藤
  •    上川総合振興局は現地対策本部としての役割を果たしていただきたいということですが、これは現場の情報収集とか、現場の救援ニーズとかを的確に把握して、あるいは現場活動されている機関と調整するとか、様々な役割があると思います。
     次は浅井先生にお伺いします。いわゆる特殊な災害に対して、道内の医療機関というのはどんな取り組みをしていますか。


  • 浅井
  •    今回のテーマは、冬期間というのと、テロと集客施設ということで、3つのキーワードがあると思います。特に、冬期間の医療は非常に難しいと思います。例えば炭疽菌だけをとっても、まず大事なのは、衣服を脱がせ、水をかけて除染をする、冬期間は寒いということで低体温になります。そういうときは、道内の二次医療機関とか救命救急センターにDMATの組織があります。そのチームが来て助けてくれると思います。最初は、消防、救急救命士もおりますし、消防や警察とか自衛隊、そういうところと一緒に連携してやっていくことも必要です。
     北海道は広域という言葉も出ました。今、道内には4機のドクヘリがあります。それにH.A.M.Nという北海道航空医療ネットワークの固定翼機です。ジェット機を使う搬送も試みられています。


  • 佐藤
  •    浅井先生の話では関係機関が連携して、一つの問題を解決していくという仕組みをきちんと作っておかなくてはいけないということでした。
     2番目のテーマは、11月に旭川で行われる冬季における化学テロ、爆破テロです。これへの対応ということを念頭に置きながら、意見交換をさせていただきます。大庭審議官、何かご意見がありますか。


  • 大庭
  •    坂東園長の話の中で、動物園でも様々な対策を行っていることを興味深く聞かせて頂きました。ただ、園の皆さんが命をかけて守っていたとしても、万が一、逃げられたときにどうなるのかとか、大雪が降ったときにそういう事態が生じたらどうするのか、もっと言うと、多いときは多分数万人の方が来られる所に、爆破予告など、テロの予告があったときにどのように対応されるのか、分かる範囲で教えていただきたいです。


  • 坂東
  •    もしもライオン、トラとかそういう動物が脱走したらということですが、日本では実効的な対策は出来ないというような気がします。自分達でできることというと、瞬間的に不動化できるような麻酔薬を使った吹き矢とか、麻酔銃がせいぜいできることです。冬場は、特に雪庇とか、すごく神経を使っていて、大雪が降ったりすると、動物を出す前に、全部雪かきから始めます。危ない所の雪は全部掘って下げるということをやっています。
     最後の質問ですが、もし本当に爆破予告みたいなことがあったらどう対応するか、実際は多分真意を確かめる前に、取りあえず閉園措置ということにするでしょう。本当にそういう所の対策という部分では、まったく手薄だなというのと、何かしていかなくてはいけないなと改めて思った所です。


  • 大庭
  •    そんなことが無いようにと願っておりますが、様々な事態の想定で、改善や訓練をしていただいて、さらに素晴らしい動物園にしていただければと思います。


  • 佐藤
  •    浅井先生、佐藤危機管理監、何かコメントはありますか。


  • 浅井
  •    こういう集団災害のときは、誰が指揮するかというのが非常に難しいということで、形式的には北海道知事がやると思いますが、佐藤危機管理監がコマンダーみたいなことをやられるみたいにそういう取り決めはありますか。


  • 佐藤危機管理監
  •    基本的には例えば、孤立集落が出来たときにどうするのか対策等は決まっています。しかし、いざ本番という時に、何ができるかという話になると、結果的には、繰り返し訓練を重ね身につけていくしかないと思っています。とにかく仕組みは出来ていますが、それを具体的に運用するのを、訓練を使っていかにやっていくかということが大切だろうと思います。

    ディスカッション
  • 佐藤
  •    お二人の意見を聞いていますと、テロが起きたときに、どう対応しようかという相場観みたいな、一定のプロセスみたいなものをお持ちだと思います。ところが、具体的になにをやるかという話になると、それぞれの事態の特性とか、そういうものを踏まえて対応しなければいけないので、そこに危機管理の難しさ、あるいはテロ対策の難しさがあるように思います。


  • 大庭
  •    関東・東北豪雨災害での鬼怒川の決壊で、自衛隊のヘリが家屋に取り残された方を救助した場面がテレビで放映されて、すごく感動的な場面だったと思います。実は自衛隊だけでなくて、消防とか警察、海上保安庁のヘリもいろんな所に出ていて、それがまさに常総市の現地調整所で地域を割り振って、この浸水地域は消防、この浸水地域は自衛隊というような分け方をしたことが、大勢の方を救えた要因だったようです。旭川市におかれてもいろんな工夫の訓練をされたら良いかと思っております。


  • 佐藤
  •    最後にパネリストの皆さんから、危機管理についてまずはここから始めてもらいたいというメッセージを話してもらいたいと思います。


  • 大庭
  •    本当に大きな災害が発生した時には、公的機関が全ての人を助けることはなかなか難しいということを、もう一度話します。西宮市では2%の人しか救助隊に救われなかった。それ以外は、まさに自助・共助で救われたという状況でした。隣近所顔の見える関係、いざとなったら助け合う関係を作っておくことは、とても大事ですので、是非皆様方のお力を結集して頂きたいと思います。


  • 佐藤危機管理監
  •    私がとにかく言えるのは、自助・共助、要するに、まず自分の身は自分で守る。もし余裕があれば隣の人を助ける。そういった形で自らの命を繋ぎながら公助を待つということになると思います。皆様一人一人の方が、災害はいつ起こるかわからないという防災意識を持っていただけるように、常に普及啓発していくのが我々の役割だと思います。


  • 浅井
  •    今日は本当に良い機会だったと思っております。これからもこういうのを続けてほしいと思っております。また、過去の教訓や事例があります。それを忘れてほしくないと思っております。
     最後に連携です。何かあったときは多くの方が連携しないとだめです。隣同士もそうですが、やはり消防とか警察とか自衛隊とかそういう所と連携してやっていく必要があると思います。



  • 坂東
  •    例えば町中に熊が出ました、手を貸してくださいみたいなことがあったとします。何か助けるという部分での仕組みとかいうのは積極的にできると思いますが、その原因を排除するというような観点に立ったときに、誰がその行為に対して責任を持つのかみたいなところが、途端に曖昧になって来るような気がしていて、仕組みを作ることはすごく大切だとは思いますが、権限とか、いろんなところに権限移譲する部分と、そのことで起きた結果に対して、誰が責任を取るんだということを、はっきりしないと、きっと現場は動かないという気が少しします。だから、組織を作ったときは、実はそっちの方が本当は大切なのかと聞きながら思いました。


  • 佐藤
  •    ただ今、パネリストの皆さんから、会場の皆さんに一言、思いを伝えていただきました。パネリストの皆さんからは自助・共助の重要性や、過去の教訓を忘れないこと、テロへの関心を高めること、関係機関の連携、責任の明確化というようなキーワードが皆さんに投げかけられました。これらのキーワードを念頭に置きながら、それぞれの立場で減災に取り組んでいただければと思います。会場の皆さん、パネリストの皆さん、ご協力ありがとうございました。



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