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  「国民保護研修会in福岡」(議事要旨)


 1. 日時 2014年12月15日(月) 18:00〜19:40
   
 2. 場所 パピヨン24 ガスホール(福岡県 福岡市)
   
 3. 主催 内閣官房/福岡県/福岡市
   
 4. 登壇者 【主催者あいさつ】    
    山ア 建典 福岡県副知事
    大野 敏久 福岡市危機管理監
   
  【パネルディスカッション】    
   パネリスト 小林 良三 国立病院機構九州医療センター救命救急部部長、感染制御部部長
    十時 裕 福岡県安全・安心まちづくりアドバイザー
    大庭 誠司 内閣官房 内閣審議官
    藤山 泰三 福岡県総務部 防災危機管理局長
   
   コーディネーター 佐藤 喜久二 (株)総合防災ソリューション 特任参与




●山ア 建典 福岡県副知事 主催者あいさつ
 
 本日は平成26年度の国民保護研修会を開催したところ、年末のお忙しいところ多数の御参加を頂き心からお礼申し上げます。
 国民保護法は、武力攻撃あるいは大規模なテロがあった場合に国民の皆様の生命、身体、財産を保護するという目的で平成16年に制定されております。この10年間、幸いなことに武力攻撃事態はありませんし、大規模なテロもこの日本では発生しておりません。ただ、20年前には東京の地下鉄でサリン事件が発生しました。また、世界を見てみますと地域での紛争、武力衝突が終わることはありませんし、また大規模なテロも頻発しているようです。今日もオーストラリアの首都で何十名かを人質にして立てこもっており、テロではないかと言われている状況が発生しています。
 日本はそういう意味で安全な社会ではありますが、万が一の大規模なテロというものが発生した場合にどうすればいいのか、具体的な備えを考えなければなりません。
 1月20日になりますが、国と福岡市と福岡県で共同の実動訓練を行うことになりました。これは市営地下鉄でテロが発生したときに関係機関がどう動くかという訓練です。この機会に国民保護法あるいはテロ対策、万が一の場合の対処法について考えて頂ければ有難いと思います。本日の研修会が参加を頂いた皆様方にとって有意義なものになりますように心からお祈りしまして挨拶と致します。



山ア 建典
●大野 敏久 福岡市危機管理監
 
 年の瀬の慌ただしい中、多数の皆様方にお集まり頂き誠に有難うございます。
 さて私共が暮らしている福岡市ですが、市民のアンケートの結果では、福岡市は住みやすいと答えた方は95%を超えています。福岡市が好きだと答えた方も95%を超え、このように福岡市に住んでいる方は快適な街だという評価を頂いており有難いことです。これを象徴するように福岡市は昨年、人口が150万人を超え、更に1年半が経過した現在では152万人に増加し、この傾向は今後も継続する見込みであります。
 こういう住みやすい福岡市ではありますが、悩みも沢山あります。その最も大きな悩みは、やはり危機であります。
 昨今頻発しております自然災害を見ましてもそれは何時やってくるかと平素の備えが大事でありますが、8月に起こりました広島の土砂災害の時に、私達の福岡市においても、とても他人事ではないと感じたところです。
 更に、本日、オーストラリアのシドニー中心部のカフェで多くの市民の方が人質に取られているという報道がありましたが、私どももテロというものはほとんど経験がなく無防備な状態であると言っても過言ではありません。
 こうした中、福岡市で1月20日地下鉄を使って化学剤が散布されたという想定の下に国、福岡県、警察、消防、自衛隊の実動機関あるいは医療機関等多数の機関に参加頂いて訓練が行われるということは大変有難いことだと思っております。
 地下鉄サリン事件から20年という節目の年を迎えますが、この福岡市で、地下鉄の中で化学剤を散布したという想定で訓練をして頂くということは大変有難く思っております。また、市民の皆様が改めてテロの脅威に対して思いを新たにして頂けると来年の訓練が非常に意義深いものになるのではないかと考えております。今日これから行われますパネルディスカッションにおきましても訓練に対して市民の皆様にその内容を周知して頂くために開催されるものと承知しておりますので、最後までよろしくお願いいたします。



大野敏久
●パネルディスカッション
   身近に潜む災害・テロへの備え 〜地域社会における危機管理〜

最近の国際テロの特徴と地域の備え

  • 佐藤
  •   佐藤 喜久二 氏  パネルディスカッションの前に導入として最近の国際テロの特徴と地域の備えという話をします。
     サブタイトルとして災害からの避難・退避の要件と書いておりますが、この主旨は私達にとって危機から身を守る最良の手段は避難するということです。このことはテロにおいても自然災害においても共通しています。
     早速ですが、最近の国際テロの特徴として2つ申し上げます。1つはホームグロウンテロという言葉を聞いたことがあると思いますが、これはある国から移民をしてきて移民先で育ったある外国人が、居住国の就労差別や外国人嫌いなどの差別を背景に引き起こすテロのことです。もちろんテロに至るまで過激な思想を植え付けられ、感化を受けて最終的にテロという行為に発展するということです。
     この背景にはアルカイーダが単独ジハードを推奨するとか、インターネットを使って不満を持つ若い人に色々な過激な思想を植え付け、それでまた国内で調達できる武器を使ってテロを起こすという要因があります。
     2つ目は、イスラム国です。シドニーのカフェテリアでイスラム国の国旗を持ったテロリストと思われる男が人質を取ってたてこもるという報道がありましたが、このイスラム国というのはイラクとシリアで活動する、アルカイーダも見放すくらいの超過激派組織です。この問題はどこにあるかと言いますと、1日当たり1億円から2億円という武器を調達できる能力の他に、優れた広報戦略を使って、北アフリカや欧米の青年層を兵士として獲得をしていることです。日本でも今年10月に警視庁がイスラム国に参加しようとした北大生を事情聴取しています。
     次に地域の備えについて、2つお話します。1つ目は防災の質的変化です。我が国の防災というのは質的に変化をしています。具体的には3点あります。
     第1に最大リスクを考慮した防災対策の推進であり、第2に防災対策の基本理念を明確化している点です。第3にナショナル・レジリエンスによる強くて、しなやかな社会作りです。
     実は3つのうち、皆様に一番知ってもらいたいことは3番目の事項です。ナショナル・レジリエンスというのは、国土強靭化というような言葉で使われています。この国土強靭化という考え方は、今まで防災対策に取り組むときには、例えば福岡県であれば警固断層における地震を想定して防災対策を考えるといった思考のプロセスを踏んでいますが、国土強靭化の考え方というのはそういうプロセスではなく、あらゆる事態を想定して、起こってはならない事態、例えば大規模集客施設が倒壊する。あるいはそこで火災が発生する。あるいは大勢の避難者がいる避難所で水とか食料の供給が長期間ストップするというような事態をどのようにして回避するか、この回避する手立てを日頃から考え、社会のあらゆる分野で取り組んで行きましょうという考え方です。
     最後になりますが、安全確保のための避難・退避の要件についてです。
     一般的には、災害が発生したときに私達が安全を確保するための最良の手段は、避難・退避です。実際、過去に起きた災害を見ると、避難や退避は大変難しく、なかなかうまくいきません。
     避難や退避の成否を左右する要件としては4つあります。
     第1に避難・退避措置に係る行政自身の遅疑逡巡の克服です。これは、行政自身がタイムリーに避難の措置を講じていないということです。
     第2に住民自身の正常化バイアスの克服です。行政がタイムリーに避難勧告や避難指示を流しても、受け手となる住民がそのとおり行動してくれないということがあります。
     第3に自治体における情報伝達手段の機能不全の回避です。例えば防災行政無線が停電で機能不全に陥る。あるいはメールでリスク情報を流す、でもサーバーが故障してそれが流れない等様々な情報伝達手段のトラブルが起きます。
     第4に関係機関相互における情報内容の認識共有がうまくいかないことです。災害事態では、縦割りの組織がそれぞれ自分で勝手に動いてしまい、組織間の情報共有というのがなかなか図れないということが起きます。
     この様な様々な要因が影響して結局、避難や退避がうまくいかないということです。これからは、今述べた4点のことを克服して、避難や退避がうまくいくような仕組みを作っておく必要があります。



    政府の国民保護の取組

  • 大庭
  •   大庭誠司氏  私からは政府の国民保護の取組について話をします。
     私は地下鉄サリン事件の時東京駅から丸ノ内線霞が関で降りて、旧自治省、今の総務省ビルに通っていたのですが、そこを通るときに異臭騒ぎが起きているということで霞が関の駅を素通りしたという経験があります。今は政府全体で危機管理という事案に取り組んでいます。危機管理を法的な側面でとらえると、大規模自然災害からテロ系のものまでいくつかあります。災害対策基本法等で掲げられているのが、地震災害や原子力災害までですが、これは昭和34年当時の伊勢湾台風の後から法体系が整備され、また、東日本大震災を踏まえた法の改正などもありました。
     テロや武力攻撃事態の国民保護法関係ですが、我が国が有事の際、どういう状況にあるかというのを武力攻撃事態法というもので捉えて、その下の国民保護法を動かすという体系が平成15・16年に法整備されました。
     現在、国と地方の実動組織というのはどれくらいあるかといいますと、自衛官25万人、警察26万人、消防職員16万人、消防団員87万人、海上保安庁1万3千人、応援にくる組織として警察の広域緊急援助隊5千人、緊急消防援助隊4千600隊2万人。DMATは東日本の時1500人が動いてくれました。実動人員は全体で150万人位しかいない。本当に大きな災害になったときにはなかなかこの数字では済まない話になります。
     一方で、地方公共団体の危機管理体制はどうなっているかというと、一つは危機管理専門幹部の配置で、都道府県や政令指定都市では100パーセント配置してもらっております。こういう部署・ポストがないとなかなかものが動いていかない。いざというときにはこの幹部の方々が各県・市町村の全体を動かすくらいの勢いのあるポストでないといけないと私は思います。
     消防関係ですと、消防の常備が16万人、消防団が87万人、自主防災組織が4千万人と言われております。しかし皆様も実態をご承知のとおり、すごく一生懸命やられているところもあればそうでないところもあります。ただ、現実的には、災害、国民保護事案においてもこの人達が動かないと国民は助からない状況にあります。
     阪神淡路のときが一つの例です。大きな災害のときには消防車は来ないと思って頂ければと思います。普段は来てくれます。東京消防庁も消防職員が1万8千人います。しかし本当に首都直下や南海トラフがあったときには、消防車は来ないと思います。当時の西宮の例を挙げますが、消防職員が463人です。すごく大きい消防本部です。ところが人口47万人で、全壊家屋が3万4千棟、死者が千人、火災発生41件、ポンプ車が全部で50台くらいですので、火はなかなか消せません。実際、阪神淡路のときですと、公的機関に助けられたというのが約2パーセントしかなかったという状況です。そういう意識を市民の方は持って頂かないといけないということです。
     国民保護については、武力攻撃事態として、着上陸攻撃侵攻やテロの事態を想定しております。国、県、市町村がそれぞれ役割分担をしながら、住民の避難、救援、被害の最小化に取り組んでいます。避難の仕組み、救援の仕組み、武力攻撃災害への備えをそれぞれの県、市町村でやって頂こうということで私どもも取り組んでおります。



  • 佐藤
  •    大庭審議官から国民保護における国や地方自治体の取り組みについて説明を頂きました。次に藤山防災危機管理局長から福岡県の国民保護の取り組みについてお願いいたします。続いて、地域で重要な役割を担う県における危機管理の体制等について小笠原危機管理監よりお話し頂きたい。


    福岡県の国民保護の取組と現状

  • 藤山
  •   藤山泰三氏  福岡県における国民保護の取組と現状についてお話します。
     まず、福岡県の特性ですが、本県と朝鮮半島・中国大陸とは、一衣帯水の関係であり、古代からこれらの地域と様々な形で交流が盛んに行われてきました。また、九州の北東部に位置し、関門海峡を経て本州とつながる重要な位置にあります。
     本県は、北九州市、福岡市という2つの政令指定都市を抱え、人口規模は約510万という事で、九州全体の1/3以上を占めています。まさに九州の行政・経済の中心であり、各種の行政機関、大規模集客施設、観光地等も多数立地しています。また、本県には、福岡空港、北九州空港という2つの空港、博多港、北九州港、苅田港、三池港の4つの重要な港湾があり、更に九州縦貫道、長崎自動車道・大分自動車道やJR等が交差する交通の要衝でもあります。人口が集中する大都市を抱える一方、山間部等の過疎地も多く存在しています。
     以上のような本県の特性を国民保護という観点で見ると、大規模集客施設や中枢的な行政機関はテロの標的になりやすく、県にはそのような施設が多数立地しています。従ってテロリストにとっては、攻撃目標の選択肢が多く、我々、防ぐ方としては大変困難であります。  福岡県は交通の要衝ですので、空港、港湾、鉄道等交通の施設はテロの目標となります。これらが被災すると大変な影響が生じます。また、海岸線が長いので他国の特殊部隊やテロリストの潜入が容易であるといえます。山間地等の過疎地域は、テロリストが隠れて準備をしたり、逃げ込んだりするのに好都合です。気候も温暖で過ごしやすく、これもテロリストには好都合でしょう。一度テロリストに狙われたら大変な事態になる可能性が大きく、しかも我々の身近なところで起きないという保証はありません。
     次に、福岡県の危機管理体制について御説明します。本県でも東日本大震災を踏まえ、地震・津波対策や原子力防災といった新しい業務に対応するため、従来の消防防災課の一課体制から二課体制の防災危機管理局を設置しました。併せて昨年4月から自衛隊等との関係強化のために防災危機管理専門監という新たなポストを設置し、陸上自衛隊のOBの方に御就任頂き、危機管理体制を強化しているところです。
     国民保護計画ですが、平成16年の国民保護法の制定に伴いまして、平成18年には福岡県国民保護計画を策定し逐次の見直しを実施しております。
     自然災害と異なるのは、敵や犯行グループが存在する中で活動するという点ですが、避難・救援といった分野は、自然災害時の対応行動と共通する部分も少なくありません。国民保護事態における避難や救援の際にも、自然災害時と同様に自主防災組織やボランティアによる防災活動が期待されているところです。本県では、自主防災組織やボランティア活動を支援するため、様々な施策を実施しています。
     最後になりますが、1月20日には国と福岡市と共同で実動訓練を行います。実動訓練には多数の関係機関の皆様の参加を得ることはもちろんですが、住民の方々の参加を得て、相互の連携強化を図りたいと考えています。また、発災現場の対応から医療機関への搬送・治療、更に避難所運営等を含んだ総合的で実際的な訓練を予定しています。県にとって重要な訓練だと位置付けており現在準備を進めているところです。
     


  • 佐藤
  •    国民保護を含めて危機管理全般にわたる県の取り組みについてお話を頂きました。続いて小林救命救急部長から化学災害・化学テロに備えるという話を伺いたいと思います。


    化学災害と化学テロに備える

  • 小林
  •   小林良三氏  日常は救急医療に関わっていますが、災害対応については九州ブロックでの統括、福岡県災害派遣医療班DMATの隊員養成研修、災害訓練での教育等に関わっています。
     福岡県では県と病院の協定により25病院が災害拠点病院として認定されています。これは平成7年阪神淡路大震災で「超急性期に医療が機能しなかった」との教訓を基に、全国レベルで災害急性期に対応すべき病院として650超が設置され、災害訓練を受けたDMATを保有することが必須条件となっています。
     テロとは、自爆テロのように爆発を伴い一瞬に甚大な被害をもたらすような事象と、NBC災害と言われる、放射性物質や生物、化学剤を原因とする特殊災害に区分されます。生物が起因となった事象としては炭そ菌の封書配送事件がありました。実際には見た感じ、五感では感じられない、何が起こっているのかがわからないというところがありますが、化学剤は異臭により異常を察知することが可能であり、それに伴う身体への影響がすぐに出るという特徴があります。
     ここからは、「化学災害・化学テロに備える」とのテーマでお話をすすめていきます。平成6年に長野県松本市で何者かがサリンを噴霧したために8人が死亡する事件があり、翌7年には地下鉄サリン事件が起こりました。当時、このようなことが起きるとは考えられない社会でしたから、「何かが起こっている、しかし何が起こっているのかわからない」という状況でした。現場から近いところにあった聖路加国際病院には救急車で搬送されたり自力で来院した約700名の被災者がいました。病院では、何が起こったのかわからない。そのうち松本事件を担当された専門の方から、「松本事件の症状と類似している」との情報が入り初めて有機リン、サリンが原因であるとわかった事件でした。この事件で大きく問題となったのは2次汚染でした。実際に救出に向かった救急隊員150人、聖路加病院の医療従事者132人がサリンの影響に巻き込まれ、2次被害が起こったということでした。この事件を踏まえ、「我々はどう対処すべきか」と現実的な問題となりました。
     化学剤への対処として、除染が必要となることが特徴として挙げられます。代表的な化学剤には、神経剤、びらん剤、窒息剤、シアン化剤があります。サリン事件のサリンは神経剤に入りますが、ではどうやって察知されるのでしょう。化学剤による汚染を感じさせる事象として「周りで小動物が死んでいる」、「付近の植物が変色、枯れている」などがあった時、さらに「不自然なスプレーの散布や液体の残った容器が置いてある」など、おかしいと思えるか、これをどう感じるかがポイントとなります。
     サリンの症状として、揮発性そして水溶性であることから、身体で濡れているところ、すなわち眼への異常「周りが暗く感じる」などが自覚され、吸い込むことにより「呼吸が苦しくなる」など、呼吸器への異常が出現します。そのような場に遭遇したならば、できるだけ吸い込まないように、また眼につかないようにしながら密閉性の高い室内に逃げることが必要です。窓を閉め、通風孔を塞ぎ、室内に入ってこないように対策を講じることも必要となります。風向きを知り、風上に向かうことが重要です。
     何らかの物質が撒かれ災害と認定された現場においては、まず散布された現場を中心に危険区域(ホットゾーン)が設定され、その周りに除染エリアを含む準危険区域(ウオームゾーン)、除染終了後の警戒区域(コールドゾーン)が設定されます。それぞれのゾーンでは汚染レベルに対応可能な防護服の着用が必須となります。医療者の活動は、除染後の傷病者に対し、症状の重症度・緊急度を診断しどう救命するかにかかってきます。
     身を守るためには、検知・防護・除染という3つのキーワードが挙げられます。自分にできることは、皮膚や眼についた場合は洗い流し、服についた場合は脱ぐ、これが除染の基本となります。
     また、何か怪しいと感じたらすぐに周囲に知らせる、異常事態としてスイッチを入れることが初動として求められます。気づくかどうかが鍵となるでしょう。
     DMATは多数傷病者がでる現場への出動を意識しながら、有事に備えています。



  • 佐藤
  •    専門的な見地から化学剤や化学災害への備え方について小林救命救急部長から話を頂きました。次に十時アドバイザーからお話を頂きたいと思います。


    コミュニティから見た安全・安心

  • 十時
  •   十時裕氏  コミュィニティから見た安全・安心という話をさせて頂きます。
     私が頂いたテーマは自主防災です。
     私が何故ここにいるかと申しますと30年間都市計画をやっていました。まちづくりの専門家です。もう一方で地域のPTA会長や町内会長をやっています。その両方をやっていると、この10年間で感じることは、コミュニティの支援ということで、行政のことも地域のこともわかりますので、両者のことを話し合う機会に入っていったらこの5年間に一番多くなったのは防災、そして高齢者支援です。
     そういう意味で地域から見たら国民保護という言葉は初めての言葉で、これに対してこちらから何かをいうことはありませんが、今地域はどのような形で防災ということに動いているかをお話させて頂いて、このパネルディスカッションの議論のテーマにして頂ければと考えております。
     福岡市は今149小学校区がありますが、校区体のコミュニティを動かせています。そういう新たな動きがあり、コミュニティの再編ということについては最近ホットな課題になっています。今回避難、避難所の運営に対して現場はどう動いているかということに問題提起をさせて頂ければと思っています。
     宗像の例ですが、宗像は13年前にコミュニティを条例化的にやり始めた、九州でも初めての組織です。そのときに言ったのが、地域の安全・安心は皆様で守って下さいということです。コミュニティの安全・安心の暮らしは皆様のコミュニティにかかっているというポイントです。宗像は合併とともに13の小学校区ができ、校区毎にコミュニティを作ってきました。これが先駆的な事例で、安全・安心な暮らしを守るという「暮らし」の中に防犯、防災というのが入っています。
     かつてコミュニティというのは運動会やレクリエーションや親睦でした。それが中心になっていた時代があり、皆元気だったということです。元気だったらそれでよかったのですが、その後だんだん防犯・防災というのが出てきました。これは地域の監視力がなくなって、自分達が動かないと交番だけでは守れなくなってきたということです。まちづくりについてコミュニティはそろそろ親睦だけでなくて、プランを作り始めました。ある意味自立し始めたと言えるかもしれません。
     我々が皆様の動機づけを行うときは、高齢者等のデータを見てもらいます。65歳以上の高齢者や特定高齢者の数はわかると思いますが、一人暮らしや要介護認定者、閉じこもり高齢者、認知症の高齢者、災害時要援護者の数というのはなかなかわからない。あと20年経てば、確実にこの数字は2倍になるということです。これを見ると地域と防災・防犯というのに対し、本当に真剣になります。要援護者は自分達が助け出さない限り、今までやってくれた民生委員や警察、消防では助け出せないということになります。
     これは何を言いたいかというと、災害でもそうですがシミュレーションして自分たちが見えるとはじめて動き出す。国民保護の話は今まで地域でなかったのですが、今回みたいな研修や訓練があると地域もわかってくるのではないかと思います。
     私どもが地域で言っている防災の基本は、小学校と校区の地域が一緒に災害本部として対応していきましょうということです。そして、さらに災害時は町内会毎に本部を作って下さいという話になっています。今要援護者を支援するために安否を確認する必要が出てきたので、町内会という組織が出てきた訳です。小学校が避難所なので各町内会が小学校へ避難する訓練もしております。それから町単位の話では、老人クラブ、民生委員、防災担当の方々が町を一本化して平常時の見守りを行います。それをしないと災害時動けないということです。こういうレベルの話は災害時だけではないだろうと思います。それぞれの地域がそれぞれの特徴をもって防災の活動をやっているわけですが、国民保護にも通ずるものと思います。



       
    ディスカッション

  • 佐藤
  • ディスカッション
       十時アドバイザーから地域社会の現場からコミュニティの重要性あるいは現実に社会でどういう問題があるのか、防犯・防災そして高齢者対応という話をいただきました。国民保護というものを考えていく際に大変参考になったと思います。
     これからは、テーマを3つに分けディスカッションをしたいと思います。
     最初は政府と県との国民保護の取り組みについて議論を進めていきたいと思います。最初に大庭審議官にお伺いします。国民保護法の法制が整備されて以降、国・都道府県というのはどういう取組みをされてきたのでしょうか。


  • 大庭
  •    県と国で合同訓練という形で延べ108回訓練をやってきました。各県ではそれぞれテーマを決めた上で様々な訓練をしており、なるべく実動訓練もやり、住民の方の避難を取り込んだ訓練をやってもらっているという状況です。
     訓練の中で今まで多いのはサリンや炭疽菌の散布、あるいはダーテイボムの対処や、場合によっては離島への攻撃などを武力攻撃事態の訓練をしていますが、どちらかというと緊急対処事態の訓練が多いという状況です。


  • 佐藤
  •    それでは、藤山防災危機管理局長にお聞きしたいのですが、福岡県では、平成17年度以降訓練を行っていますが、訓練を通じてどのような成果が得られ、また、どのような課題があったか紹介して頂けないでしょうか。
     

  • 藤山
  •    17年度以降、毎年度訓練を実施していますが、その成果として、まず県・市町村をはじめ関係機関職員の理解は一定程度進んだと考えています。また、関係機関同士の顔の見える関係ができたので、関係機関の連携が強化されたものと思います。情報共有のあり方等をめぐり、具体的な課題を把握して逐次改善しています。
     一方、今後の課題ですが、今まで図上訓練を中心に実施してきたので、現地現物に即した確認・検証などは不十分だと考えています。また、自主防災組織等、一般の方の参加を求めて訓練したことはなく、一般県民の参加が重要です。加えて、国民保護事態について県民の方々への広報啓発に今後取り組んでいきたいと考えています。


  • 十時
  •    今回の国民保護のテロや武力攻撃については、ほとんど想定できない、イメージできないということで、一般の方々にどう話をすればいいのか結構難しい話です。言い方を変えると指示があれば動くという状況は作れると思います。
     大庭審議官にお聞きしたいのは、住民や市民は自分にあった資料を欲しがると思います。国民保護の話からすると、住民側はここに逃げて下さい、こういう行動をしなさいというようなことがはっきり伝達される仕組みになっているのかということと、もう一つは、今地域は高齢化していますので、介護施設や、要援護者の方々をどのように救援するのかというところを悩んでいます。うまくいく方法が考えられているのかという事をお聞かせ願えないかと思います。


  • 大庭
  •    避難の件ですが、災害対策というのは基本的に自治事務です。国民保護、事態対処の大きな違いは国家の責任であるということで、自治法的に言えば法定受託事務という言い方をしています。ある程度の地域については国の方から、県及び市町村を通じて避難の指示ができると思っています。
     ただ、テロや現場で起きたことについては、消防本部あるいは警察の方々がウオームゾーンやホットゾーンを設定して、まずその地域に入らないようにします。それから県、市町村の危機管理部局の方々がその周囲に例えば何百メートルの所はどうするとかいうことを議論することになるかと思います。そういう意味でも一般の市民の方々もこういった事態というものがあるのだということを頭に置いて頂ければと思います。
     もう一点の要援護者の関係ですが、図上訓練や実際の実動訓練を繰り返している中で要援護者の方々をどうするかということが相当議論になっています。市町村では災害の備えとして要援護者の名簿作成等も手掛けていますので、このようなことも一つの例です。国民保護については、こうしたものの活用などについて、我々も努力していきたいと思います。


  • 佐藤
  •    十時アドバイザーのご質問に対して大庭審議官から回答を頂きました。
     一般の災害ですと避難行動については市町村長が避難勧告、避難指示を出しますが、国民保護に関しては国の対策本部長からの避難の指示に従って、現場で避難の行動をとるという特徴があります。これは参考にして頂きたいと思います。
     それでは次のテーマに行きます。1月20日に県で訓練が行われますが、これを前提とした化学災害・化学テロへの対応について少し議論させて頂きたいと思います。大庭審議官から何かご質問がありますか。


  • 大庭
  •    先程、小林先生から福岡県には災害拠点病院が25あり、すべてDMATに認定されているということですが、NBCなどの災害が起きたときに、どの程度病院の対応が可能なのか、あるいはそれに備えてどのような訓練をされているのかということについて何かヒントになることがあれば教えて頂きたいと思います。


  • 小林
  •    災害医療班の派遣ということですが、これは阪神淡路大震災を契機に「いかに早く現場に医療を投入できるか」ということが課題となり、そこから全国レベルで災害拠点病院の設置、DMATの隊員養成研修が始まった訳です。
       種々の災害が起きる中で「我々がテロ・NBC災害に直接タッチできるのか」と問われますと、「我々は素人です」と言わざるをえません。逆に言わせていただくと、「多数傷病者が出るような現場」、「起きてはならない事が起きた」、そこには何らかの医療ニーズがあり、我々が出動する意味が出てきます。
     それから、CBRNEのための試行的研修会が開かれ、全国レベルで訓練が始まっています。現状では、化学剤であれば検知によってどんな化学剤かが同定され、除染によって2次被害が防げる、そんな現場での医療が我々の任務であると考えています。


  • 佐藤
  •    今のことに関連いたしまして私の方から質問をさせて頂きます。例えば地下鉄駅の中でサリンが散布されているという状況でDMATの皆さんが派遣されたとします。安全が確保された、あるいは検知された状態の中で活動されるということになると、実際にはどういった場所で、どういった活動をすることになりますか。


  • 小林
  •    1月20日の訓練を想定するならば、駅構内から出た所で、除染が済んだ状態であるコールドゾーンという2次被害の影響のない場所だと考えています。我々はそこに救護所を作り、医療活動をすることになります。


  • 佐藤
  •    最後のテーマに行きます。民間における防災の取組についてです。自助・共助をやる上でどんな課題があるのか、あるいはその課題を解決するために行政、つまり公助に何か要望事項があるのかについてお話を伺いたい。


  • 十時
  •    今言われたように一般の自然災害のことで地域の方に話をするときは、まず公助のことはあてにしないでくれというしか手は無いです。話を聞いてわかったのは国からの指示があること。そうするとその指示はどこからくるのか、テレビなどメディアだと思いますが、国からの指示か、自治体からのメッセージがあって、ある程度想像できる範囲で自主的に動くことになるようで、自助・共助、共助の部分が結構無いのではないかとそういう気がしています。


  • 佐藤
  •    今の話では自助・共助の部分についてはある程度自然災害で学んできたものを適応できるかもしれない。ただ問題なのは行動を起こすきっかけとなるリスクに関する情報や、あるいはどういう行動を取ってほしいという情報はどこから来るのかということが問題であると思います。この辺は県の立場からしますと、どういうことが出来ますか。


  • 藤山
  •    我々としては、国民保護事態が発生した場合、とにかく、いち早く参集することが最も重要と考えています。責任者が集まって、国民保護対策本部を立ち上げ、県としての情報共有や市町村等関係機関への伝達などを速やかに実行できる体制を組むということです。
     こういった体制の下で市町村への伝達、マスコミへのプレスリリースなどにより、できるだけ県民の皆様に早く情報を提供するということを心掛けたいと思っています。


  • 佐藤
  •    今答えて頂きましたが実際テロ災害というのは当初はテロとはわからないわけでして、結局大事なことは最初に現場に出た消防機関、警察の方々から周辺の住民の皆様に対して行動の指示や、情報の提供が非常に重要になってくると思います。
     最後に、各パネリストの方から皆様に対して、危機管理についてまずはここから始めてほしいということを話してもらいたいと思います。


  • 大庭
  •    国民保護のような事態が生じないように我々政府としてはまず精一杯やらなければならないことは前提です。
     テロの危険性が我が国、国内で全くないかというとそういう訳ではない。そうすると皆様日頃行動している中でこれはちょっとおかしいな、この不審物は何だ、そういうちょっとした気づきがすごく大事になってきます。
     そういう気持ちを持って頂くことと、今度1月20日に福岡で訓練があるので、参加するあるいは見る、あるいは周りの人を誘ってみるという形でこの訓練に興味をもって頂ければ日本の安心に繋がってくるのではないかと思います。


  • 藤山
  •    県としては、当然今後とも国民保護に取り組んでまいります。ただ、行政だけでは限界がありますので、まずは県民の皆様一人一人が国民保護に関する正しい知識を身に着けて頂きたいと思います。また、地域の防災力を高めることが重要ですので、地域で行われる防災訓練、特に避難訓練、あるいは地域で行われる各種行事に積極的に参加して頂いて地域の実情を把握し、その絆を大事にして頂きたいと思います。


  • 小林
  •    実際にテロといいますといろんな種類・事象がありますが、それを察知できるかどうか、そして発症をどう感じるかということがすべてで、少し知識がないとできないというところもあります。
     しかし、自然災害に対して避難が必要な事態を考えるように、何かが変だと考えることが一つのきっかけにもなるかと思います。自分に降りかかる突発的な事態「テロ」というものに、やはり最初に気づく、スイッチを入れるということがいかに大事なことかということを強調したいと思います。


  • 十時
  •    地域の防災をやっていて一番皆様にお伝えすることは、訓練以上のことはできないということです。
     今回の件についても今やっていること以上のことはできないので、これを機会に自治会の方、女性の方も、皆様がリーダーや何かの窓口になった時に言っていかないと始まらないし、今回折角知った訳ですから、これを自主防災の話をするときにちょっと言っていくとか、学生の方々が防災のボランティア活動をしているときに話をしてみるとかそういうことから始まる気がします。


  • 佐藤
  •    パネラーの方からいろいろと発言を頂きましたが、4人のパネラーの方がおっしゃりたいことは、その地域の安全・安心の決め手というのは皆様の気づきあるいはその危機に対する意識が重要であるということを訴えられていたと思います。
     従って今日お集まりの皆様にはいろいろと学んで頂いたことがあるかと思いますが、これからも引き続き危機管理に対し地道に取り組んで頂き、そして国民保護について広く多くの人達に啓発をして頂きたいと思います。
     本日は大変ありがとうございました。



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    内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)付
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