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  「国民保護研修会in青森」(議事要旨)


 1. 日時 2013年10月21日(月) 18:00〜19:40
   
 2. 場所 弘前文化センター(青森県 弘前市)
   
 3. 主催 内閣官房/青森県/弘前市
   
 4. 登壇者 【主催者あいさつ】    
    青山 祐治 青森県副知事
    葛西 憲之 弘前市長
   
  【パネルディスカッション】    
  パネリスト 柏倉 幾郎 弘前大学被ばく医療総合研究所 所長
    工藤 淳 NPO法人青森県防災士会 相談役
    宮地 俊明 内閣官房 内閣参事官
    小笠原 靖介 青森県 総務部 行政改革・危機管理監
   
  コーディネーター 佐藤 喜久二 (株)総合防災ソリューション 特任参与




●青山 祐治 青森県副知事 主催者あいさつ
 
 東日本大震災において、多くの尊い命が失われ、甚大な被害が発生したことは未だ記憶に新しいところです。
 県では地震発生直後からでき得る限りの対策に取り組むとともに、創造的復興を目指し、様々な取組みを進めてきた結果、雇用や観光などの分野で復興に向けた明るい兆しが見られています。この良い流れを維持・向上させ、創造的復興を果たすべく今後とも積極果敢に取り組んでまいります。
 本日の研修会は「災害そしてテロに備える〜地域で取り組む危機管理〜」をテーマに専門家の皆様からお話をお伺いします。
 災害を完全に防ぐことは不可能ですが、訓練の積み重ねなどにより、被害を最小限に抑えることはできます。
 そのため、県では関係機関と連携し、国民保護訓練を実施しているほか、平成20・22年度には国と国民保護共同図上訓練を実施しました。来月7日には、弘前市において全国初の広域医療搬送を含む国民保護共同実動訓練を実施します。これらの訓練を通して防災体制の整備に万全を期してまいりたいと考えております。
 皆様には、本研修会において災害やテロが発生した場合の避難・救援活動を理解され、それぞれの地域で取り組む危機管理に役立てられますことを期待しております。


青山 祐治
●葛西 憲之 弘前市長 主催者あいさつ
 
 当市の危機管理体制については平成19年に策定しました弘前市国民保護計画に基づき、市民の皆様の安全・安心を確保するための対策の構築を着実に進めているところでございます。
  来月7日には当市を主会場とした国、県、市の合同による実動訓練を実施します。この訓練は放射性物質を使用したテロの発生という想定のもと、現場における初動対処能力の強化や関係機関との連携の確認を目的とするものです。
  当市においては昨年度の青森県総合防災訓練に続いての国民保護訓練の実施となり、より一層の危機管理体制の強化に向けて大いに成果を期待するものであります。
  本研修会は訓練に先立ち、テロ等が発生した際の救援や医療活動などについてご理解を頂くために開催するものです。
  本日お集まり頂いた皆様には、市民の安全、安心を脅かすテロは弘前市においても起こり得るものだという意識のもと、自分がそのような事態に遭遇した場合にどのように対応すべきかを考えながらパネリストの皆様のお話を聞いて頂きたいと思います。


葛西憲之
●パネルディスカッション
   災害そしてテロに備える 〜地域で取り組む危機管理〜

  • 佐藤
  •   佐藤 喜久二 氏  パネルディスカッションの導入として、世界におけるテロの状況についてお話しする。
     国際社会におけるテロの状況から次の3点が言える。
     1つ目は宗教過激派による報復、文化摩擦によるテロが圧倒的に多いこと。
     日本は欧米と政治的、文化的、軍事的につながりが深いため、テロが波及してくる可能性も高いだろうと言える。
     2つ目は大量破壊兵器を使っているテロ、NBCRを使用したテロも散見されること。
     これは大量破壊兵器の拡散の問題や日本国周辺の国の情勢を鑑みると私たちにとっても無縁のものではない。
     3つ目はボストンマラソンでのテロをはじめとするホームグロウンテロ。すなわち自分の国で生まれた人によるテロである。
     これは、日本でも外国人労働者が増えていることを考えると、このようなテロも無縁ではなく、今後注意していく必要がある。

    避難・退避の実効性の向上

  • 佐藤
  •    災害やテロ発生時に住民の安全を守る最良の手段は、避難・退避である。
     避難・退避をより実効性の高い行動にしていくためには次の4項目の条件を満たしておくことが重要である。
     1つ目は行政自身の遅疑逡巡の克服である。いらぬ混乱を避けたい、空振りを避けたいという思いからタイムリーに避難の指示を出せないということにならないようにすべきである。
     2つ目は住民自身の正常化バイアスの克服である。私たちは危険を前にしても危険と感じないようなバイアスが働いてしまう。そのため、行政が避難の指示を出しても、受け手である住民が動いてくれないという状況が起きている。これは、普段の啓発等で克服していく必要がある。
     3つ目は自治体における情報伝達手段機能不全の回避である。これはJ-ALARTや防災行政無線、Eメールといった様々な情報伝達手段が整備されているが、これは機械的な故障、電源の喪失、人為的な操作ミスなどの要因により上手くいかないこともある。従って、情報伝達手段が機能しない場合を想定した対応策を講じておく必要がある。
     4つ目は関係機関相互による情報の共有である。テロが発生したとの情報が入った場合、避難が必要な地域、救助活動のため立入を規制する範囲がどの程度なのか、弘前消防だけで対応可能な事態かどうかなど、その情報がどのようなことを意味しているのか共有することが重要である。
     避難や退避の実効性を高めるため、以上のようなことが考えられる。

     それではまず、内閣官房の宮地参事官から国としてのテロ対応についてお話し頂きたい。


    政府における国民保護への取組み

  • 宮地
  •   宮地俊明氏  私からは、政府としての国民保護の取組みについて、お話しさせて頂きたい。
     国民保護は、大規模なテロなどの人為的な攻撃があった場合に国、地方公共団体、関係機関が協力して住民を守るための仕組みであり、自然災害や大規模事故などは対象から除外されている。
     国民保護が対象としている事態は大きく分けて2つに分類される。
     1つ目は武力攻撃事態である。国民保護基本指針では、着上陸侵攻、弾道ミサイル攻撃、ゲリラ・特殊部隊による攻撃、航空攻撃の4つの類型を例示している。
     2つ目は緊急対処事態である。これは武力攻撃事態に準ずるような攻撃手段によって多数の死傷者が発生するものであり、大規模なテロを想定したものである。
     これら武力攻撃事態及び緊急対処事態に対処するための仕組みとして、避難、救援、被害の最小化という3つの柱に基づき、国、地方公共団体、関係機関の役割を国民保護法で定めている。
     警報の発令というのは、発生した事態に関し、事態の現状や予測、発災地域などを国民に伝達することであるが、発令は国が行い、それを都道府県経由で市町村に伝達し、市町村から住民にお伝えする。また、国から放送事業者を通じて住民にお伝えすることになっている。
     避難の仕組みについては、避難が必要な地域、避難先を国が決定し、都道府県に指示をし、都道府県では避難経路などを具体化した上で、住民に対し指示を出す。市町村はこの指示を受け、住民等を避難先まで誘導していく。自然災害と異なるのは、犯行グループや敵が存在する中で避難していくという点である。
     次に、救援についてであるが、収容施設の設置、食品・飲料水の提供、医療の提供など救援の実施主体は都道府県であり、市町村はその活動を支援するというのが基本的な仕組みである。
     武力攻撃災害への対処に関しては、化学剤等による汚染の拡大防止や被災者の救出救助など、関係機関が総力を挙げて対処し、被害の最小化に取り組むことになっている。
     これらが国民保護という制度の概要である。この制度を実効性あるものとすべく、国では地方公共団体と共同で訓練の推進を図ってきた。
     国民保護法制定後、平成17年度から毎年、全国各地で共同訓練を行っており、これまでの8年間で延べ96の都道府県で実施してきた。
     これら訓練の目的は、様々なテロ発生時における手順の確認、関係機関の連携の強化を図ることにある。8年間訓練を実施してきたことにより、少しずつ国民保護への理解が進み、地方公共団体においても危機管理意識が醸成されてきたと考えている。
     また、各機関におけるノウハウの蓄積や訓練の企画・実施を通じて関係機関相互の顔の見える関係の構築ができたことも成果として挙げられる。
     11月7日には、弘前市運動公園において放射性物質を含んだ爆発物が爆発するという想定で、56機関、約千百名の参加により実動訓練を実施する。
     最後になるが、国民保護の仕組みやこれまでの訓練の状況、身を守るためにどのようなことが必要かということも、内閣官房の国民保護ポータルサイトに掲載している。是非ご覧頂きたい。


  • 佐藤
  •    続いて、地域で重要な役割を担う県における危機管理の体制等について小笠原危機管理監よりお話し頂きたい。


    青森県における危機管理への取組み

  • 小笠原
  •   小笠原靖介氏  私からは、危機管理における青森県の特徴などについてお話しさせて頂きたい。
     まず、青森県の地理的特徴だが、本県は本州の最北端に位置し、3方を海に囲まれている。日本海側の気候は温暖だが、冬季は積雪地帯となる。太平洋側は低温日が多い傾向にある。
     社会的には六ヶ所村に原子燃料サイクル施設等が、東通村には原子力発電所が立地している。県内には陸海空自衛隊の司令部等が配置されており、更に米軍三沢基地も所在している。
     青森県の危機管理に関する組織は、知事をトップに行政改革・危機管理監を配置し、それに属する形で防災消防課を設置している。同課では危機管理や災害対策のほか、消防関係や高圧ガス関係の業務も行っている。また、防災ヘリコプター「しらかみ」を配備し、災害時の応急対策活動、遭難者等の救助活動、患者搬送などを行っている。
     また、青森県では、あらゆる危機管理事案に対し、地域防災計画、国民保護計画、危機管理指針などに基づき、知事をトップとした様々な対策本部を設置し対応することとしている。
     災害時の医療体制としては、初期救急医療体制の強化を図るため、災害拠点病院を指定し、重篤救急患者の救命医療、広域医療搬送の対応、地域医療機関への応急医療機器の貸出し等を行っている。
     また、学校等に大きな避難所を開設することが多いことから、救護所を併設し、感染症の蔓延防止や衛生面、精神面でのケア対策を行うこととしている。
     このほか、災害派遣医療チームDMATが被災地に入り、現場での救急医療や多くの傷病者を被災地外に搬送できるような体制を構築している。
     次に、本県における主な危機管理事案を紹介する。
     本県では東日本大震災以降も、平成23年9月に台風15号により馬淵川が氾濫、平成24年2月には国道279号で暴風雪により多数のドライバーが車に閉じ込められる事案が発生、自衛隊へ災害派遣要請をした。
     また、北朝鮮による人工衛星と称するミサイル発射事案においては、連絡体制確保のため、対応職員を増員したほか、危機情報連絡員会議を開催し、全庁的な情報共有を図った。
     このような危機管理事案に適切に対応するためには、訓練を通じて日頃から有事における適切な判断力を養成することが重要である。
     県では平成20・22年度に国と共同図上訓練を実施するなど、緊急対処事態における対処能力の向上に努めている。
     ほかにも、全庁的な震災対処訓練として災害対策合同指揮本部図上訓練、航空機運用調整訓練、災害時応援協定締結業者との災害時情報伝達訓練、災害対策本部設置訓練、市町村消防本部との通信訓練など様々な訓練を実施している。
     一方で地域の防災力の向上のためには、自主防災組織の役割が非常に有効であると考えている。東日本大震災でもその必要性が改めて認識されたところであり、組織設立の機運が高まってきている。県ではその動きを後押しするため、研修会の開催や防災資機材の購入費用の助成などの取組みを推進している。
     最後に青森県防災ホームページを紹介する。ここには青森県の国民保護に対する取組み、危機管理対策、災害情報、防災の心得、防災消防課からのお知らせなど、様々な防災危機管理情報を掲載しているのでご活用頂きたい。


  • 佐藤
  •    次に、放射線防護と被ばく医療について、柏倉所長からお話し頂きたい。


    放射線防護と被ばく医療

  • 柏倉
  •   柏倉幾郎氏  放射線防護では、正確な放射線計測、環境評価が重要であり、事故時の値を評価するためには、これらを普段から行っておくことが肝要である。更に緊急時の備え、装備やネットワーク、訓練が必要になる。
     被ばく医療では、DMATのような救急救命対応が大きな問題になるが、一方で被ばくした場合は、非常に長い期間が必要になる。
     その場合に大事なのが、事故時の環境試料に基づく現場の物理的な線量評価と染色体を中心とした生物学的な線量評価である。
     住民の場合は線量計を付けていないため、線量を正しく評価する必要がある。更に高線量の場合は薬物療法や細胞移植などの再生医療が必要になる。
     例えば、1.5グレイ(Gy)を被ばくすると、これが人の死亡のしきい線量になる。3〜5グレイだと60日以内に半数の方が亡くなる。
     高線量で被ばくした場合、細胞移植などには時間がかかるが、薬物療法は迅速に対応できるため有利であると考えている。
     東海村の臨界事故では3人の方が中性子の被ばくをしたが、この治療では、細胞の増殖因子が薬として使用された。
     フランスのパーシーホスピタルでは世界中から患者を集めて治療を行っている。2006年3月11日に起こった事故において密封線源に短時間曝露し、全身で4.2グレイの被ばくをした者が、20日後にフランスに行き、細胞増殖因子の投与を受けた結果、血小板などが速やかに回復し、治癒された。
     日本でも緊急被ばく医療ポケットブックの中で、全身被ばくの線量に応じて細胞増殖因子を使った「急性放射線症候群の基本的な治療法」というガイドラインが出されている。ここでは5種の薬物が挙げられているが、このうち日本で薬として使われているのは2種だけである。
     アメリカの国立衛生研究所や軍の放射線生物学研究所では、製薬会社とタイアップして放射線防護剤の研究をしている。
     こうした放射線防護剤を作ろうとすると、化合物の探索、動物実験での安全性と効果の確認、製剤化、ヒトでの臨床試験、治療までに10年以上かかる。
     すでにある薬を使えばこれが短縮されるという発想のもと、すでにある薬で治療法ができないかということに取り組んでいる。
     市販の医薬品を使った治療法であれば、備蓄や緊急対応において有利である。また、毒性検査が済んでいるので、医師等の判断があれば投与できる。
     一方で、治療法の特許を取得していなければ有事の際に日本が使えないだろうということで、国際的にこの治療の権利を押さえておくよう進めている。
     今後、廃炉作業や高汚染エリアの除染作業、核関連施設での事故や核テロへの対処も含め、このような薬物対応も必要であると考えている。
     日本では放射線防護剤の開発に取り組んでいる企業や施設はほとんどない。国では線量評価と併せて、被ばくした場合の医療的な対応にも取り組んで頂ければと考えている。



  • 佐藤
  •    次に、民間における防災の取組みについて、工藤相談役からお話しを頂きたい。


    民間における防災への取組み

  • 工藤
  •   工藤淳氏  今日は青森県防災士会の防災士としてお話しさせて頂く。
     8年前に15人の防災士で結成したのが青森県防災士会である。防災士会は全国で60あるが、青森県防災士会は全国でいち早くNPO法人になっている。また、会員も現在は当初の10倍以上に増えている。
     青森県防災士会のスローガンは「大切な人を守ろう。助けられる人から助ける人へ」としている。
     防災士とは、自助、互助、協働を原則として社会の様々な場で減災と社会の防災力向上のための活動が期待され、かつそのために十分な意識、知識、技能を有する者として認められた人を言い、日本防災士機構が認証している。
     防災士は地域の防災リーダーと言われているが、防災士には権限もなければ義務もない。従って私たち防災士は防災という理念と使命に従って活動しているボランティアである。
     青森県防災士会の活動としては、大きく災害時と平時に分けられる。
     平時の場合は各種防災訓練への協力、防災教室の開催をしている。東日本大震災以降防災教室の開催依頼が多くなっている。
     次に復旧復興支援である。具体的には募金活動や支援物資の調達、運搬であるが、3・11以降、県内各地で募金活動を行い、県、日本赤十字社、現地の仮設住宅に支援物資とともに届けている。
     最後は私たち自身のスキルアップである。防災士は簡単な講習を受け、資格試験に合格するとなれるが、防災士になっただけでは不十分である。様々な経験をしながら学習を積み重ねないといざという時には動けない。
     青森県防災士会は関連団体と提携して様々な学習をしている。その一部を紹介する。
     防災ヘリ「しらかみ」については青森県防災士会と気象予報士会が共同で研修を受けた。その他県内に3つある自衛隊を一年おきに巡り研修をしている。
     このような研修を行うことで、実際の被災地での生々しい学習ができ、最新の装備も学べる。
     最後に言いたいのは自主防災組織の確立である。
     自主防災組織というのは、自らの命は自ら守るという考えに立ち、自分たちの地域を自分たちで守るために組織するもので、地震や風水害が発生した際に被害を軽減するため自主的に活動する組織のことを言う。
     青森県内では町内会から自主防災組織を立ち上げるのが一般的になっている。
     消防庁では、全国都道府県の自主防災組織の組織率を都道府県別に毎年発表しているが、平成24年度の集計結果では、全国の平均が77.4%であるのに対し、青森県は33.4%と組織率が極端に低い。防災活動をしている私としては非常に恥ずかしいという思いでいる。
     自主防災組織も組織を立ち上げるだけでは不十分であり、自主防災組織で備えておくべき代表的なものを紹介する。青森県が発行した地域防災心得書に書かれているが、携帯ラジオやヘルメットなど個人や家庭で準備できるものも含まれている。
     これら防災用資機材は、計画的かつ定期的に整備し、いつでも活用できるようにしておくことが大切である。


    ディスカッション

  • 佐藤
  • ディスカッション
       まずは、行政における国民保護の取組みをテーマに意見交換をしていく。
     国民保護法成立以降、国、都道府県、市町村、関係機関における取組みの状況を教えて頂きたい

  • 宮地
  •    平成16年に国民保護法が制定され、武力攻撃や大規模テロが起きた場合の国、地方公共団体の役割が明確化された。
     各都道府県、市町村では国民保護計画を作成し、平時からの備えや有事の際の対応について定めている。
     警察・消防など現場で活動する機関についても、各省庁が国民保護計画を定め、資機材やマニュアルの整備を進めるなど、現場での対応の在り方についてもノウハウが蓄積されてきている。
     それを更に深めるため、関係機関を交えて訓練を行い、計画・マニュアルの検証をしていこうという段階である。

  • 佐藤
  •    次に国民保護事案が発生した場合の県の初動体制について、小笠原危機管理監に紹介頂きたい。

  • 小笠原
  •    多数の死傷者が発生するような事案が起こった場合、政府による事態認定前においても対応できるよう、知事をトップとする青森県危機対策連絡室を設置することを県国民保護計画に定めている。
     この連絡室において、的確かつ迅速に各種情報の収集・分析を行う。また、必要に応じて、自衛隊や国の関係機関、他の都道府県に支援を要請するなど、被害の最小化を図る方策を講じる。
     その後、政府によって事態認定が行われた場合には、警報の通知や避難の指示など国民保護法に基づく対処をしていくことになる。

  • 工藤
  •    国民保護に関する警報にはどのような種類があり、住民はどのような備えをしたらよいのか。

  • 宮地
  •    国民保護法に基づく警報は、事態の現状や今後の予測などを国民に伝達するものであるが、地震や津波のような自然災害と異なり、対象が人為的な行為であり予断を持つべきではないことから、具体的・客観的に基準が定められているわけではない。
     武力攻撃事態等に関する警報が出された場合には、すぐに逃げるということではなく、その後の行政からの指示、テレビ・ラジオの情報に注意して頂き、それに従って避難などの行動をお願いしたい。

  • 佐藤
  •     11月に実施される国民保護共同実動訓練では放射性物質を含んだ爆発物を使用したテロが想定されている。
     これに関連して、放射線防護と被ばく医療をテーマに議論を進めていく。

  • 宮地
  •    今回の実動訓練は長期間の被ばくを想定したものではないが、低い放射線量を長期間曝露した場合、どのような対策が講じられるのかお聞かせ頂きたい。

  • 柏倉
  •    放射線を長期間浴びると、白血病を発症するという研究は世界で発表されているが、どうすれば防ぐことができるかという研究はなされていない。
     放射線生物学的に考えると、俗にいう抗酸化物質を恒常的に摂ることは有効ではないかと考える。例えばポリフェノールや緑茶のカテキンなどは、放射性物質によって体内に発生する活性酸素(組織細胞へのダメージを引き起こす)を消去・減弱させることに効果的である。

  • 工藤
  •    よく報道で耳にするが、安定ヨウ素剤とはどのような物なのか。

  • 柏倉
  •    ヨウ素というのは、甲状腺に集積する特性を持っている。
     放射性ヨウ素が体内に入る前に、大量の安定ヨウ素を投与することで甲状腺には安定ヨウ素が集積し、結果的に放射性ヨウ素の集積を防ぐことができる。これは特に若年層には効果がある。
     ただし、誤解して頂きたくないのは、安定ヨウ素剤はあくまでも放射性ヨウ素に対してであり、セシウムであればプルシアンブルーなどが必要になる。
     いずれにせよ内部被ばくは極力避けるというのが最も重要である。

  • 佐藤
  •    最後のテーマとして自主防災組織に話を移す。
     組織率向上のために県が行っている取組みについて伺いたい。

  • 小笠原
  •    県としては、特別の事業として、防災資機材の購入に対する補助について予算措置をしている。
     新規の組織を立ち上げる場合は40万円を上限として購入経費の3分の2を、既存の組織が整備を行う場合は15万円を上限として2分の1を補助する。
     併せて、市町村の担当職員や地域住民を対象とした研修会を行うことも検討している。このような事業を通じて、まずは組織率50%を達成したい。

     県では、住民の方々が自発的な取組みを行う機運を如何に醸成していくかが重要と考えているが、防災士会の立場からアドバイスを頂きたい。

  • 工藤
  •    私はこの2〜3年にわたり、県内の市町村長や議員等とも自主防災について意見交換をしているが、防災士のことを知らない首長や自主防災組織のことを知らない首長もいた。
     住民の意識を高めるのは大事だが、上に立つ方がもう少し危機意識を持って防災に取り組んでほしいと感じている。
     できることがあれば自治体と協力して進めていきたいと考えている。是非とも防災士会を利活用して頂きたい。

  • 佐藤
  •    最後に各パネリストから参加者の皆さんに対してメッセージをお願いしたい。

  • 宮地
  •    テロは遠い世界での出来事と思わず、万が一起きたらどのように対応したらよいのか、ご自宅等で一度話して頂きたい。
     国民保護ポータルサイトには、避難にあたっての留意点など、テロなどから身を守るために必要なことや、警報に用いるサイレン音などについても掲載している。時間のある時に是非見て頂きたい。

  • 小笠原
  •    防災対策については県としても全力を挙げていくが、大事なのは一人ひとりが防災への意識を高めるということである。
     本研修会を機に、家や職場で有事の際の対応を気軽に話して頂き、その話し合いの輪を広げて頂きたい。

  • 柏倉
  •    放射線事故が発生した場合、まずは屋内に避難しておけば安全だとは思うが、自分がどの程度被ばくしたかという不安は残る。
     それを支援する側としては、より正確的な線量評価を後でするためにも、日頃からデータやサンプルの収集に当たらなければならないと感じた。それが、高い線量の場合における医療対策を考える上でも重要になる。

  • 工藤
  •    自然災害であれ、テロであれ、基本は自分の身は自分で守るということと、備えが大事だと考える。今日お集まりの皆さんには、お住まいの地域に自主防災組織があるのか確認して頂き、もし自主防災組織が無ければ、早急に立ち上げるよう頑張って頂きたい。
     青森県防災士会では、自主防災組織を立ち上げるためのプロジェクトチームも作っている。何なりとご相談頂きたい。

  • 佐藤
  •    パネリストからのメッセージに共通しているのは日頃の備えである。私は、日頃の備えをする上で重要なことは関心を持つことだと考える。少しでも関心を持たなければ、次にどうするかという発想は生まれない。
     危機管理への意識を持って頂き、日頃の備えをして頂きたい。
     長時間にわたりご清聴ありがとうございました。


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