内閣官房 国民保護ポータルサイト English サイトマップ 携帯サイト 印刷用PDF
ホーム   国民保護とは   有事関連法制について   武力攻撃やテロなどから身を守るために(パンフレット)   リンク

ホーム > 国民保護研修会in兵庫 > 議事要旨

「国民保護研修会in兵庫」(議事要旨)


 
 1. 日時    2009年11月17日(火) 18:30〜20:00
   
 2. 場所   神戸新聞 松方ホール (兵庫県 神戸市)
   
 3. 主催   内閣官房/兵庫県
   
 4. 登壇者     【ご挨拶】            
            吉本 知之     兵庫県副知事
   
    【基調講演】        
        奥村 徹  内閣官房NBC災害対策専門官
   
    【パネルディスカッション】        
    パネリスト   小澤 修一   兵庫県災害医療センター長
        山本 あい子   兵庫県立大学地域ケア開発研究所教授
        櫻井 修一   内閣官房内閣審議官
   
    コーディネーター   奥村 徹    




 ●吉本 知之 兵庫県副知事 主催挨拶
    吉本 知之氏  平成16年6月に国民保護法が制定されました。その後、国、及び地方公共団体では、計画・マニュアルの策定、あるいは訓練の実施などを積み重ね、国民保護の充実が図られてきました。 兵庫県で11月30日に予定しております訓練は、国と地方公共団体が協力して実施するものです。核物質、生物剤、化学剤というNBCによるテロが発生した際に、いかに住民の方々の身体、生命を守っていくか、が重要なテーマになっており、医療機関との連携に力を入れた訓練を実施する予定です。 この研修会は、皆様に国民保護の仕組みについてご理解いただくこと、及び万が一大規模なテロが発生した場合のため、警察、消防、自衛隊そして医療機関の連携を深めていくことを主なテーマとして実施しております。この研修会の成果が訓練に活きていきますように、どうぞよろしくお願い申し上げます。


 ●基調講演

  テロなどの大規模災害と救急医療のあり方について

                         内閣官房NBC災害対策専門官 奥村 徹
    奥村 徹氏  現代テロには、国際化、過激化、無予告、同時多発、NBCの使用、大量殺戮、無差別、決死的という8大特徴がある。一方、国民はテロの脅威を感じながらも、まだまだ国民保護法や緊急対処事態対処は国民の間に浸透していない。

     近年、世界ではスリランカやマドリッドでテロが発生しているほか、ロンドンでは地下鉄の車両3両とバスを爆破するという同時多発テロが起きた。ロンドン地下鉄爆破テロの教訓は様々あるが、中でも、MIMMS(ミムス)という災害医療教育システムが有効であったといわれている。このMIMMSによって、災害に対応する各機関が共通言語を持つことが、非常に意義があったと評価されている。

     MIMMSとは、Major Incident Medical Management and Support / 大災害時の医療活動に関るシステムという意味である。日本でも05年にMIMMS日本委員会が設立され、受講する医療従事者も増えているほか、DMAT(Disaster Medical Assistance Team / 災害時の医療救援隊)における教育にも活かされている。

     MIMMSによって教育される概念として、CSCATTTや、ゴールド・シルバー・ブロンズモデルがある。CSCATTTとは、災害現場で行う7つの対応を表したものである。それぞれ、指揮命令系統をしっかりと立てる「コマンド・アンド・コントロール(Command and Control)」、安全を確認する「セーフティ(Safety)」、確実な情報伝達をする「コミュニケーション(Communication)」、状況をリアルタイムに評価する「アセスメント(Assessment)」、どの人から運ぶべきかを判断する「トリアージ(Triage)」、患者を医療機関に搬送する「トランスポーテーション(Transportation)」、そして治療を行う「トリートメント(Treatment)」である。災害医療においては、最後の3つをスリーTと呼んでいる。また、ゴールド・シルバー・ブロンズモデルとは、指揮命令系統を3段階に分ける概念である。ゴールドは国家レベルの戦略立案、シルバーは現場に近い場所で戦術を立てること、ブロンズは現地対応をそれぞれ意味する。

     日本においてもテロは発生している。日本の代表的な爆弾テロ事件としては、74年8月の三菱重工本社の爆破に端を発する連続企業爆破事件がある。この事件は、世界中のテロリストに影響を与えた世界で初めての本格的な爆弾テロである。三菱重工爆破事件では8名の方が亡くなられ、385名の方が重軽傷を負った。その後30年以上日本は大規模な爆破テロ事件に見舞われていないため、日本の救急医療界は爆傷の患者を救命するというノウハウが十分でなく、大きな課題になっている。現在世界中で行われているテロのほとんどは爆弾テロであることから、まずは爆弾テロあるいは爆傷に対して備える必要がある。

     また、爆傷の応用問題として、ダーティボムによる被害がある。これは放射性物質を爆弾で散布する、汚い爆弾といわれるものである。これに対しては、放射線への緊急被ばく医療と同時に爆傷にも対応しなければならず、医療現場での混乱が予測されるテロである。

    東京地下鉄サリン事件は都市で起きた世界初のNBCテロ

     私がNBCテロ対策に関わるきっかけになったのは、95年3月20日に起きた、東京地下鉄サリン事件である。これは、NBCテロ対策のウェークアップコール、目覚まし時計といわれている事件である。この事件はまさに世界中のNBCテロ対策を考え直す大きなきっかけとなった。私は当時聖路加国際病院に勤務しており、この事件に対応した。

     当時の聖路加国際病院の院長である日野原先生はもともと危機管理、災害対策には造詣が深い先生である。日野原先生は現場を見てこれは非常事態であると判断され、麻酔がかかっている患者以外の手術はすべて中止、一般診療も中止させた。CSCATTTのコマンド・アンド・コントロールが、幸いにして日野原先生のリーダーシップの下に機能したのである。日野原先生は、まず、外科系の副院長にはトリアージを、内科系の副院長には原因と治療の調査、及び治療の標準化を、看護部長を兼務する副院長には病棟と外来の受け入れ態勢を整えるよう指示した。加えて、聖路加の門を一旦くぐった患者に対しては、誠心誠意治療を尽くそうという方針を明確に打ち出した。

     軽症で歩ける程度の患者も聖路加国際病院に殺到した、ということを海外で講演すると、なぜ重症の方が集中している現場直近の病院に軽症の患者をわざわざ運び、病院に負荷をかけるのか、日本にはトリアージという概念がないのか、というご意見をいただくことがある。この事件はNBCテロが都市で起きた世界ではじめての例であり、当時トリアージという概念が浸透していなかったことは認めざるを得ない。トリアージは阪神・淡路大震災をきっかけに知られることになったが、震災後2ヶ月ではまだ一般的ではなかった。

     地下鉄サリン事件での課題として、現場・病院ともに除染(汚染された物質を体表から除去すること)が行われなかったことがある。そのため、消防・救急・警察・医療従事者に二次被害者が続出した。サリンが高濃度であったら、この初動対応要員の中から、亡くなられた方が出ていた可能性もある。聖路加国際病院では、個人防護装備が全くない状況でチャペルに患者を収容した結果、多数の二次被害者が出た。服と服の間に残留したサリンにより、換気が悪かった場所で二次被害を起こしたと考えられる。職種別では、患者に近ければ近いほど二次被害が多く出た。

    NBCテロ対応においては二次被害を防ぐため「除染」が重要

     NBCテロ対策の基本概念は、危険と汚染から、被災者・救助者・医療従事者・医療機関を守ることである。そのためには、「ゾーニング」「個人防護装備」「検知」「除染」が重要である。

     ゾーニングとは危険度ごとに区域を囲んでいくことである。ホットゾーンとはそこにいるだけでバタバタ倒れてしまうようなエリアをいい、ウォームゾーンとはバタバタ倒れてしまう状況ではないが、除染をしていないために二次被害が生じかねない場所をいう。ウォームゾーンから出るときに除染を行う。除染が行われたら、コールドゾーンというエリアに移り、患者の状態を落ち着けてから優先度の高い順に病院に運ぶ。しかし、ゾーニング及び除染施設の立ち上げには少なくとも30分から1時間かかるといわれているため、除染を受けずに医療機関に来る患者が当然出てくる。そのため、病院での除染と現場での除染の二段構えで対応していくことになる。

     個人防護装備は、NBCの危険から個人を守るものである。例えば、避難する時に簡易的にかぶる呼吸防護具は国産品や輸入品がすでに販売されているが、ほとんど普及していない。欧米では、毒ガスマスクも含めて市民が購入している。東京消防庁では数百個単位で呼吸防護具を備蓄されていると伺っている。

     除染には、肉眼で見て明らかな汚染を除去する「粗除染」、緊急被ばく医療の世界において行われる、サーベイメーターで汚染の場所を特定してその場所を拭き取る「拭き取り除染」、服を交換する「乾的除染」、水を使った「水除染」がある。除染とは水を使うもの、という誤解もあるが、実際には様々な形の除染がある。平成16年には、総務省消防庁の救助技術の高度化等検討委員会において、汚染物質が見える場合は水を使った除染が必要だが、そうでない場合には、服を着替えるだけで十分であるとされている。

     除染においては、除染中の容態急変の可能性を考え、必ず患者の状態を確認しながら除染する。その際、医療従事者は個人防護装備を装着する必要があることは言うまでもない。

     また、季節によっては、夏は薄着で露出部位が大きいため、水除染の必要性が高まる一方、冬は厚着しているため、服を脱ぐ乾的除染だけでもかなり除染が期待できる。このことを認識することが重要である。

     国立病院機構災害医療センターには、救急部の入口にいつでもすぐに除染ができるような設備があり、圧縮空気や、酸素の配管も行われている。こういった病院は日本でも少ないが、慶応大学病院では、渡り廊下にロールカーテンを下ろし、除染するコーナーを簡易に作る工夫をしている。

     NBCテロ対策は、地下鉄サリン事件、九州・沖縄サミットを経て大きく前進した。この九州・沖縄サミットでは、公的な資金で初めて除染設備が配備された。配備されなかった病院でも、危機感と熱意をもって手作りの除染設備を導入した例があった。その後、全国の救命救急センターに除染の設備が配備されたが、使い方が分からないという問題があった。そのため、集団災害医学会でデモンストレーションを行い、理解が進んだ。

    訓練を利用し、災害医療のステップアップを

     この後、様々なテロ対策訓練が行われるようになり、消防機関、警察、自衛隊、医療、行政の連携が図られている。01年には、内閣官房から「NBCテロ対処現地関係機関連携モデル」が出された。ここで、除染の位置づけが明らかになるとともに、現地調整所を通じ、情報を共有して対応を行うというモデルが初めて提案された。今回の訓練でも、現地調整所を一つの大きなポイントとしている。関係各機関が情報を出し合う、良い情報交換の場所にしていただきたい。

     さらに、04年には国民保護法ができ、NBCテロなどが国家として緊急に対処する事態と位置づけられたた。その後、この法律に基づき国民保護訓練が実施され、本年度で全国を一巡する。

     災害医療界の新しい動きとして、日本医科大学にNBC医療除染車という、除染設備を持った自己完結型の医療指揮本部機能を持った車両が導入されている。この医療除染車では、救命のための医療活動を行いながら、カメラでその場の様子を記録することができる。また、点滴に比べて個人防護衣を着ていても処置を行ないやすい、骨髄輸液という方法も検討が進んでいる。今回の訓練ではこの方法を試行的に取り入れている。現場における救命医療、医療従事者の安全管理、爆傷に対する医療の充実が今後の課題である。

     今回の訓練では、除染前医療を一つのポイントにしている。従来は除染が終わってから医療を行っていたが、それでは除染が終わるまでの30分から1時間の間、医療が受けられないという懸念があり、世界各国で様々な取り組みが行われている。イギリスでは、HART(ハート、Hazardous Area Response Team)という、ウォームゾーンやホットゾーンでの医療提供のシステムがある。今回の訓練では、こういった国際的な動きを踏まえ、世界でも最新の知見を取り入れた訓練を行いたいと思っている。

     今回の国民保護訓練の機会を大いに利用し、日ごろの災害医療・救命医療のステップアップにもつなげていただけるよう、医療機関、関係機関の皆様には積極的な参加をお願いしており、すでに非常に積極的にご参画をいただいている。NBCテロに関する書籍としては、「NBCテロ対処ハンドブック」や、「生物・化学テロ災害時における消防機関が行なう活動マニュアル」等が出版されている。また、「緊急招集」という地下鉄サリン事件での医療現場に関する本も出しているので、ご参考にしていただければと思う。ご清聴ありがとうございました。



 ●パネルディスカッション

  NBCテロ発生時における医療のあり方 ―兵庫県訓練想定から―
  • 奥村 NBCテロ災害対応を、過去を踏まえて、現在をとらえて、未来に望んで、という3部構成で考える。まずは小澤先生に、阪神淡路大震災当時の各機関と医療の連携の状況について、先生ご自身も被災されたという話も聞いているので、どう感じたのかをお話しいただきたい。


  • 小澤 修一氏小澤 当日の朝の私の行動を、CSCATTTに合わせて分析する。まず被災したので、私の家族と私の安全、セーフティを確認したのち、近くの小学校に避難し、救護活動を始めた。コマンド・アンド・コントロールとして、当時の勤務先である姫路循環器病センターと県庁に連絡し、救護班の要請を試みたが、県庁が被災していたために要請を果たせなかった。現場では、顔見知りの養護教諭や看護師、医師がいたため救護活動ができた。また、重傷者のトリアージをしたが、遠くの病院が機能しているという情報がなかったため、近くの病院にしか運んでいなかった。アセスメントができなかったといえる。トリートメントも、軽症者には破裂した水道管の水で傷口を洗って止血だけしたが、重傷者にはできなかった。コミュニケーションも不十分であった。以上のように、当時は十分な行動が出来なかった。その反省が、DMATの取り組みにつながった。


  • 奥村  続いて、山本先生に、過去のご経験を踏まえて、災害に対する看護者の気持ちをお聞かせいただきたい。


  • 山本 当時私は兵庫県立看護大学の教員であった。日本全国から大勢の看護職がボランティアに手を上げてくれたが、どこに行くかの調整をするシステムがなかったため、調整をする本部を作り、のべ3000人の看護職をボランティアとして派遣した。また、震災の後、日本赤十字社の方が、私たちの知らない非常に多くのノウハウを持っていることがわかったので、災害時看護支援のネットワークを作った。それが新潟県中越地震の際の看護職派遣に活かされた。また、知識の共有には学会が必要だと認識し、日本災害看護学会と世界災害看護学会を立ち上げた。さらに、仮設住宅の中で健康相談を行なった経験から、デパートや郵便局で看護職が血圧測定等を行って相談に乗る「まちの保健室」を作った。
     これらの活動を土台として、研究や看護ケアをする際に具体的に何をしたらいいかを示す看護職用のブックレットの作成等を行った。加えて、大学では災害看護がほとんど教えられていなかったため、大学で災害看護を教え、大学院では災害看護という領域を立ち上げ、現在に至っている。まだまだ災害が多く起こっており、チャレンジは続くと思っている。


  • 奥村 徹氏奥村  お二人のお話を受けて、櫻井審議官に、大規模災害対応及びNBCテロ対応に関して、政府はどのように過去の経験を活かしながら対策を採られてきたのか、ということをご説明願いたい。


  • 櫻井 自然災害の対応と異なり、テロ対応はなかなか対策が整備されてこなかった。国民保護法が制定されたのもわずか5年前である。テロを起こさないための取り組みとしては、外交努力・防衛努力のほか、警察・海上保安庁・税関等の取り組み、またテロに使われそうな有害物質の厳重な管理と、様々な努力を行なっている。一方で不幸にしてテロが起きた場合に被害を最低限にとどめられるよう、このようなフォーラム等を通じて皆様の理解を深めていただくとともに、訓練をして実地の対応・対策をできるようにしている。すでに、過去の経験がある爆弾テロや化学テロについて図上訓練・実動訓練をしてきた。昨年は天然痘を使ったテロやダーティボムを想定した訓練も行った。訓練は段々高度なものになっている。
     今回の訓練はサリンによるテロを題材にした実動訓練である。参加規模も大きく、消防・警察・自衛隊の三者に加え、医療機関にも多大なご協力をいただき、被害者を助けた後についても対象を広げている。また、被災者の心のケアまで視野に入れ、逐次高度な訓練、高度な対応ができるように努力している。


  • 奥村 それでは、現在を見つめることに話を進める。今回の訓練で想定している化学テロ発生時にいかに救命を行うかという観点から論を進めたい。兵庫県の災害医療センターは訓練における医療機関の中心となって参加されているが、その中でどういうことを感じたのか、また震災の経験との関わりで、何か活かせているのかという点について、小澤先生にコメントをいただきたい。


  • 小澤 JR福知山線の事故においては震災の経験が良く活かされた。まず、ヘリコプターで重症患者の分散搬送ができたことは非常に良かった。また、ボランティアで救助をしてくださったスピンドル社の皆様は、現場に油が出ており引火すれば大きな二次災害になることを理解して、救助に一切機械を使わなかった。また、尼崎中央市場のボランティアの皆様はロジに徹し、救助している方の健康を気遣って水や食料を与える、という役割分担ができていた。これらは震災当時に比してかなり進歩していた。問題点としては、トリアージが適切だったとしても、一部の黒タグをつけられた方のご家族などは、なぜ十分な治療を受けさせられなかったのか、という不満が残った。今度の訓練では、このような心の問題も取り扱っている。
     また、防護服を着用しての除染前医療にも課題がある。防護服を着用した状態での気管挿管は、うまく出来ているかを判別する音が聞けず、非常に難しい。骨髄針や硫酸アトロピンの注射等も、条件によってはできない場合もある。これが除染前医療の難しいところである。


  • 奥村 続いて山本先生に、この国民保護訓練をひとつの災害教育とみて、学生教育の面からこの国民保護訓練をどう捉えているのか、コメントをいただきたい。


  • 山本 あい子氏山本 人が知識を得る方法は、本を読む、その道の専門家が話すことを聞く、経験する、の三つが主なものといわれる。この訓練は経験につながると思われるが、経験がなぜ学びにつながるのかというと、悲しさ、喜び、驚きといった様々な情動、感情を伴うことで深く学べるからである。この訓練をみると、気持ちが揺さぶられる機会があると思われるのが良い点である。
     加えて、災害の際は他の組織の人とパートナーシップや調整能力が必要になるので、様々な職種の人が訓練に関っているこの機会は、ネットワークを作る意味でも良いと思う。今回の訓練には看護学生が参加しているが、次回は医学生の参加も考えていただきたい。


  • 奥村 医学生も巻き込むべきではないか、というご指摘は、ぜひ、正面から検討したい。では、今年の国民保護訓練において、櫻井審議官から関係機関に期待することについてコメントをいただきたい。


  • 櫻井  今回の訓練では官邸から対策本部、現場まで一体となって訓練をする必要がある。この訓練のために半年以上前から関係者の方は顔を合わせ、準備を続けてきたことと思う。心通じる形で当日に臨んでいただきたい。また、縦割りにとらわれず、どれだけ横断的に動けるかを検証しようとしているのが現地調整所の訓練である。さらに、対策本部の訓練では、現場の活動のために必要な点に気を配りながら、自分の役回りを落ち着いて行うことを望みたい。
     加えて、訓練が終わった後、自分たちの動きを検証し、今後のために利活用していただきたい。また、訓練後は自分たちのカウンターパートや周りの組織・機関の動きをよく理解し、相互理解の輪を広げていただきたい。最後になるが、看護学生の方々には被災者役をやっていただく。将来は助ける側になるので、自分を助けてくれる先輩方の仕事ぶりをよく見て勉強し、また患者の気持ちを知り、立派な医療従事者になっていただきたい。


  • 奥村 NBCテロが万が一起きた場合、いかに被害者の数を減らすことができるかという観点から、この訓練を通じて未来を語っていただければと思う。小澤先生から、未来に向けたNBCテロ対応についてコメントをいただきたい。


  • 小澤 コロンビアのボゴダに行ったとき、たまたまテロがあった。現地の方は、他の自動車よりも少しタイヤが沈んでいる自動車は危ない、といった危険を常に考えている。しかし我々は、かつては爆弾テロも経験し、サリン事件もあったが、もうそのことを忘れている。例えば、地下鉄サリン事件の後、駅はゴミ箱がなく、ゴミを捨てることができなかった。かつて感じていた危機感と取り組みを改めて思い出すことが大事であると思う。


  • 奥村 それでは山本先生に、市民に向けて災害に対する認識をどのように働きかけていくのか、という将来のテロ対応への思いをコメントいただければと思う。


  • 山本  二つ課題を挙げたい。一つは行動化の難しさである。例えば防災袋もなかなか用意できない。用意しても、季節ごとに衣類を替えるところまではなかなか難しい。認識を変え、その結果行動が変わることが望ましいが、ここまでは難しいので、最近では、認識が変わらなくても行動が変わればいいと思っている。子どもたちに教育して親を動かしてもらったり、会社で記念品を出す際に防災袋を出してもらったり、という方法もいいと思う。このような方法も織り交ぜて、とにかく行動をどう変えるかが課題である。
     もう一つは連携と協働の難しさである。看護活動は、情報を提供したり、心身を健康にしたり、人と人とのつながりを作ったりして、安心を支えているといえる。安全安心という言葉があるが、安全はとても探求されている一方、安心は具体的な議論が難しい。看護職は今述べたようなことをしているが、安心の探求には情報学、工学、看護学など、いくつかの学問領域の連携と協働が必要な部分がある。個人、集団、ひいては地区全体を災害に対して強い地域に変えていき、災害が発生したときに地域や社会の能力強化へつなげていくために、連携と協働が非常に重要である。


  • 奥村 それでは櫻井審議官から、国として、国民保護において市民にどういうことを望むのか、コメントをいただければと思う。


  • 櫻井 修一氏櫻井 国民保護について、まずは少しでもいいので関心を持っていただきたい。会場に来ていただいた皆様におかれては、お友達やご家庭に関心の輪を広げていただきたい。また、万一現場に遭遇してしまったら、とにかく冷静に対応していただきたい。例えば出口に一度に皆が押し寄せれば、踏みつけられて圧死するという二次被害が発生することもある。事件の直後には単なる爆発かNBCテロかわからないため、とにかく現場をはなれることが重要であるが、その際に、有毒物質を吸い込まないようハンカチで鼻と口を覆い、風上に逃げるといった基本動作をできるようにしていただきたい。また、例えば生物テロで感染症が蔓延すると、家で待機することが必要な場合もある。災害用の食料や衣類について、何日間か生活できる備えをこの機会に確認していただきたい。これはテロでも自然災害でも共通である。加えて、今回の訓練における行政や実動部隊の対応を見て、安心につなげていただきたいし、そのためにも一生懸命訓練をしたいと思っている。備えておくことによって、自然災害等にも落ち着いた対応ができる。ぜひ、関心と備えを持っていただきたい。


  • 奥村  日本は世界の中でも極めて早い段階で爆弾テロ・NBCいずれの被害にも遭っている。日本が、安全安心な、NBCテロに世界一強い国になるよう少しでも進んでいけたらと思う。ご清聴ありがとうございました。