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国民保護フォーラム2010
 
内閣官房では、日本集団災害医学会におけるシンポジウムとして、「国民保護フォーラム2010」を開催しました。
 
日時:
平成22年2月13日(土)14:00~16:00
   
場所:
OVTA(国際能力開発支援センター)
 日本集団災害医学会総会 第一会場
 千葉県千葉市美浜区ひび野1丁目1番地
   
主催:
内閣官房
   
テーマ:
化学テロが起きたとき、国民の皆さんの生命をいかにして守るかについて、主に医療機関の活動に焦点を当てて議論します。テロ対策・災害医療などの各分野の専門家によるシンポジウム形式で多くの皆様とともに考えてみたいと思います。
万が一のとき、私たちはどう行動すればよいのか、専門家のみならず、広く一般の方にも示唆に富んだ内容のシンポジウムとしたいと考えています。
   
シンポジウムの内容:
  1.シンポジストの個別発表
2.総合討論
3.会場からの質疑
   
登壇者:

【シンポジスト】 略歴

吉岡 敏治(日本中毒情報センター専務理事)

中山 伸一(兵庫県災害医療センター副センター長)

北川原 亨(長野赤十字病院救急部災害対策担当参事)

榊 茂(徳島県危機管理部危機管理政策課長)

滝川 伸輔(内閣官房内閣参事官)

【司会】

奥村 徹(内閣官房NBC災害対策専門官)

 
滝川 伸輔
   
発表テーマ:「国民保護訓練と災害医療について(NBC災害医療を中心に)」
   
滝川 伸輔 私からのメッセージは二つあります。一つは、国民保護の実動訓練について御理解をいただきたいこと。もう一つは、それぞれの地域や職域での皆さんのお仕事に、国民保護訓練を役立てていただきたいということです。
 国民保護を行う上で重要なことは、有事の際の死傷者をいかに減らすのかということです。そのためには、医療、特にNBC災害医療が重要になります。そしてもう一つ強く意識すべきは、NBCや特殊なテロの場合だけでなく、自然災害など平時の災害医療です。平時災害医療をうまく行うには、単に訓練本番に参加していただくだけでなく、日頃から外部の専門家の皆様と勉強を行い、参画していただき、我々や自治体の知見を深めていくことが必要となります。また、心のケアの問題やメディア対応は、特にテロの場面などでは、リスクコミュニケーション及びクライシスコミュニケーションができていなければ、訓練の成果を活かしきれないということもあります。
 国民保護法が施行され、平成17年からは、政府と自治体、さらに関係機関が連携して行う国民保護共同訓練をしております。また、平成20年からは病院等の医療機関に実動訓練に加わっていただき、昨年からは外部専門家による評価委員会を組織し、評価を行い、次の訓練に活かすという試みも始めております。例えば、11月に行った兵庫県での実動訓練で評価委員会からいただいた指摘を踏まえる形で、2月の徳島県での実動訓練のシナリオの追加や修正も行いました。
 これまで、政府と自治体の共同で実動訓練を行ったのは15県あり、残りの32都道府県は図上訓練であるので、今後より積極的に実動訓練を行っていきたいと考えております。
 
北川原 亨
   
発表テーマ:「医療機関におけるNBC災害の被災者の受け入れについて」
   
北川原 亨 長野県の国民保護実動訓練では、初めて医療機関への傷病者の受け入れを実施しました。
 やはり、国民保護の観点や私どもが考えている医療救護というのは、傷病者を受け入れて、どのように治療をし、その後入院させていくかというところまでやっていかなければ、基本的な流れとしての国民保護が成り立たないだろうと感じておりましたので、これまで行われなかった院内への受け入れを企画いたしました。
 そして、当院職員と関係者に国民保護のための措置に関する理解を得るために事前に二回の研修会を実施し、法の枠組みや計画の概要を理解するところから始めました。
 訓練実施にあたって、私どもが意識したことは、今ある災害対策マニュアルで実際の災害時に対応できるかということであり、それを検証していくということでした。そのために、いくつかの訓練目標をたてました。まずはシナリオを非公開にして考えて行動すること。次に平日の通常診療をとめずに訓練を行うこと。また、私どもは基幹災害医療センターであり赤十字病院ですので、災害の際は医療救護班という形で外部に出す役割もあるところから、残った医療従事者で多数の傷病者を受け入れる体制を取らざるを得ないことです。これは事前に院内での応援要員あるいは応援医療機器のシステムを用意していましたから、新システムを試行して検証を行いました。
 実際に訓練を行い、多数傷病者の受け入れについては、連携と調整、統制などやはり災害対策本部機能の充実が一番必要であろうと感じました。従前から災対本部長が忙しい訓練を画策してきましたが、この成果が発揮できたものと考えています。
 訓練全体の成果についていうと、災害対策マニュアルの修正についてはCSCATTTの観点から様々な課題がでました。合計で246項目の課題が出ており、これに基づいて現在、マニュアルの改訂をしております。応援システムについては、期待に足る機能性を発揮いたしましたが、 他機関との連携は、時間的な制約もあり不十分な面もあり課題として残りました。
 こうした長野の訓練の課題がこの後に行われた兵庫県や徳島県に活かされ、全国の災害拠点病院などで共有されれば幸いです。
 
中山 伸一
   
発表テーマ:「災害拠点病院・DMAT指定医療機関による化学テロ対応:平成21年度国民保護訓練からの考察」
   
中山 伸一 兵庫県でのフルスケールの訓練を担当させていただきました。この訓練を総括し、医療機関サイドから見た化学テロ対応の今後のあり方について考察を加えたいと思います。
 今回は、県内外からの応援DMATとの協働や搬送をしっかりと組み込んで行った総合訓練であり、かつ、離れたところの神戸大学病院や神戸中央市民病院という災害拠点病院も巻き込んでの訓練でした。最終的には、海保の協力を得ての犯人逮捕やこころのケアセンターでのメンタルケアも含めた訓練を執り行いました。
 全体を通じての課題は、現場調整所を設置して多機関での情報共有を試み、これはある程度できましたが、現場のさまざまな活動場所からの情報報告が不十分といわざるをえませんでした。また、現場ウォームゾーンにおける防護服着用下の活動は、トリアージを含め、観察が非常に困難であるということです。それから、ウォームゾーンの中でのコミュニケーションが非常に難しかったというのが報告として上がっています。また、訓練の中でやはり人形では限界があり、気道分泌などはわかりづらいため、模擬患者や人形を使わざるをえない訓練の難しさが指摘されました。
 考察として、県外勢を含む応援DMATとの協働を採り入れたこと、搬送部分は省略という訓練が多い中、搬送までを含む訓練ができたことが非常に意義深かったと考えられました。また、ウォームゾーン内での医療展開について想定していたよりも適応可能であるといった感想を持ちました。その一方、困難なところとしては、傷病者の観察及びチューブ類の固定が非常に難しいことです。今回トーマスホルダーその他も持っていっておりましたが、普段の慣れもありますが、レベルCの手袋をつけたままでは難しく、誤挿管していないかの確認など気管挿管の確実性に非常に不安が残るという意見がかなり出ておりました。こういった処置には、慣れと訓練が不可欠であると痛感いたしました。
 いずれにしましても、実際の災害では、ウォームゾーンに医療を投入すべきかどうかというのは、マンパワーの適正配置という辺りから考える必要があります。かつ、救急隊はウォームゾーンに入らないというのは、片手おちではないかとも思いますので、今後、消防との連携の中で考えていく必要があるかと思います。
 最後に、今後この国民保護訓練の場を借りて、それぞれの都道府県で今回のような訓練を行っていくことは非常に有意義だと感じました。ただ、今回のようなフルスケールの総合訓練だけでなく、化学テロに対する現場への医療展開に関しては、もう少し目的をしぼりつつ、つまり何を検証しようかということも決めて、実証実験や連携訓練に的を絞ることも非常に意義深いのではないかと申し上げたいと思います。
 
吉岡 敏治
   
発表テーマ:「NBC災害の現場で医療従事者が活動することの意味について」
   
吉岡 敏治 今回、初めて兵庫の訓練から外部評価を行うことになりました。それでは、外部評価の方法を簡単に御説明させていただきたいと思います。まず、評価項目別に担当評価委員を任命して、前もって評価項目を明文化しました。評価の方法は、これを4段階で評価し、併せて項目ごと気づいた点にコメントを記載していただくという方法で行いました。4段階評価とは、「適切かつ秀逸」「ほぼ適切」「適切であるとは言えない」「課題を残している」であります。
 評価は、実動機関と医療機関の2つに分けて行っております。実働機関というのは、医療機関以外と考えていただければいいのですが、発災現場、救出救助、現場医療、除染、救護所、避難所の運営等です。中項目ですが、実動機関は、安全管理、救出活動、除染前医療、救護所の運営、避難所の運営など、医療機関は、指揮命令系統、安全管理、ゾーニング、個人防護衣、検知、診断、除染、情報連絡の体制、それから3T(トリアージ、治療、搬送)などに分け、さらにこれら中項目を数項目の小項目に分けて、実働機関、医療機関ともそれぞれおよそ50項目を明文化しました。
 評価結果を通じていえますことは、各機関の連携や情報伝達不足といったことでした。今後も消防と医療のさらなる話し合い及び今回のような多機関参加の共同訓練をさらに重ねる必要があるかと思います。その他、ゾーニングに関する表示が少ない、コールドゾーンでの医療行為が少なかったというコメントもありました。良かった評価としては、避難所の運営やメンタルヘルスへの配慮が挙げられています。
 考察ですが、化学剤によるテロでは、発災から救出・救助までの時間と医療を受けるまでの時間を如何にして短縮するかということが、一番の大きなポイントだと思われます。医療を受ける時間を短縮するためには、可能な限り早くという観点から、発災現場からの医療ということで、救出後、除染前医療と除染後の搬送前の医療をスタートすることになります。どんな医療を行うべきかというと、今回行われた気道確保、解毒剤の投与、骨髄液の実施などが考えられます。被災から病院搬入までの時間を短縮するには、場合によっては除染をスキップすることが重要と考えていますので、除染に対する考え方を是非、皆で徹底して議論していく必要があると思います。
 
榊 茂
   
発表テーマ:「徳島県におけるDMAT体制の整備状況について」
   
榊 茂 まず、実動訓練の内容として、発災場所となる鳴門・大塚スポーツパークにおいては、化学剤散布テロに伴う検知、救出、除染、除染前医療、現地医療指揮本部の設置運営、ヘリを活用したDMATや傷病者の搬送訓練などを実施しております。なお、除染の準備に時間を要し、治療開始の遅れが問題となっていることを踏まえて、昨年11月30日に兵庫県で実施された訓練にひき続きまして、除染前医療を試行的に実施いたしました。また、災害拠点病院である鳴門病院においては、県外DMATの協力も得て多数の化学剤暴露者に対するトリアージ、除染、医療救護活動を実施いたしました。更に、避難場所となる鳴門ウチノ海総合公園におきましては、避難者に対する健康相談や、心のケアを実施するなど、特に医療救護活動に重点をおいた訓練を実施いたししました。
 今回の訓練においては、長野県や兵庫県での成果等を踏まえ、何点か試験的な取り組みを行っております。兵庫県に次いで2回目となります除染前医療において、一つは骨伝導マイクや小型カメラなど多様な通信手段を用いての情報伝達、除染前医療等の要否を明確にするためのリストバンドの装着、救急救命士によるDMATチームの支援を行いました。
 今回の訓練を通じて見えてきた課題としては、本県のような地方都市では人的にも物的にも脆弱であり、単独の機関では、大規模災害時に十分対応できないということが挙げられます。このため、医療を初め、消防・警察・自衛隊など、関係機関の一層の連携協力の下、全体としての最適化を図り、一体となって対応することが重要であると感じました。特に今回試行的に行いました除染前医療など、ウォームゾーン内での活動については、DMATの安全確保と円滑な救護活動を行う上において、消防機関との一層の連携強化が不可欠であると感じました。また、今回取り入れた様々な工夫についは、国民保護共同訓練だけでなく、災害医療や総合防災訓練など各種訓練の中でも取り入れ、検証を繰り返し、より有効な手法を確立していければと考えております。
 
 

奥村徹奥村 :皆様に御指摘いただいた部分を私なりにまとめさせていただきますと、1つの大きな課題としては、いかに救命、救助、救出のために時間短縮を図れるかという部分がポイントであろうかと思います。それに加え、今後の大きな課題の1つの方向性としては、医療と消防がいかに連携を取るかです。それではまず、時間短縮の鍵という部分で、吉岡先生、御発言の口火を切っていただければと思います。

吉岡 :発災から救助・救出までの時間を短縮するということは、装備品の質の向上、あるいは訓練によってかなり可能かと思います。そういった中で、除染のスキップが病院搬入までの時間短縮の鍵となると思います。

奥村 :救助・救出までの時間と医療が始まるまでの時間、この2つの時間をいかにスキップできるかというのは除染というのがひとつの大きな鍵になっているという先生の御指摘でした。中山先生、これに対して、コメントはございませんでしょうか。

中山 :おっしゃる通りで、今回、乾式をかなり入れましたけど、除染が一番律速段階になるのは確かだろうと思います。その中で、除染のスキップの可否を誰が判断するのかということです。

奥村 :先生が御指摘のように、除染をスキップできるかどうか、あるいは医師がその現場に入っていくかどうか自体も、誰がどの時点で判断すればよいのかという部分が、今後の課題として残されているだろうという御指摘でした。

中山 :ちょっと補足しますと、情報がわからない中では、プレホスピタルに医療を呼んでいただける環境の中、医療が安易に危険地帯に入ってしまうという事態が考えられ、また反対に、どうも疑わしいというときに、消防は現時点ではかなりゾーニングや除染を意識している中、今度はなかなか入れないという全く逆の対応が、実際考えられるのではないかと思います。

奥村 :基本的に安全管理は消防機関に任せるのですか。

中山 :その中で、消防はひょっとしたら入れないという判断を。そこではっきりしてきてレベルCでいいという判断が下ればまた別ですが、そこまでの空白時間が一体どれくらいあって、それがもし1時間かかったとして、その間何もしないかというと、これはまた沢山の人が亡くなるなということにはなりますね。

奥村 :そこが、次の消防と医療の連携という部分にも関わってくるのかもしれません。それでは、今回の除染前医療という、現状の除染が終わってからの医療ではなく、除染前に医療を始めるべきではないかということに関する検討を行なっておられる東京医科歯科大学の大友先生から御意見をいただければと思います。

大友 :私どもは、NBCテロにおける医療のあり方に関する研究に4年前から取り組ませていただいております。実は現在、災害があるとDMATが現場に出動して行きます。私どもは、DMATが積極的にNBCテロの現場に出動すべきだということに関しては、非常に高い意義があるのだと認識しております。また、医療に関しては、様々な場面で進歩していると思うのですが、徳島の訓練も結局、現場の医療はほとんどDMATがやっていて、消防の影が見えないという場面もありました。救出・救助、もしくはホットゾーンでの動きはありましたが、それ以降の医療に関しては、ほとんどDMATがやっているという状況です。実際は、やはり消防がそこのイニシアティブをとって、そこにDMATがあとから付加的に来るということだと思います。

奥村 :大友先生からコメント頂きましたが、時間の短縮のため誰がどの時点で判断すればよろしいでしょうか。

大友 :実は、DMATはNBCテロの現場へ行っても、基本的にはコールドゾーンで活動しようと、除染が終わったところでやりましょうというのが前提です。大原則です。ただし、有効な拮抗薬が打てるという傷病者の状況であれば、危険度とのバランスを勘案して入って行くことになると思います。しかし、そこのデシジョンメイキングは誰がやるか、消防の判断なのか、医療対策本部の判断なのか、もしくは現地関係機関調整所の判断なのかということは、今後、詰めていかなくてはいけないだろうと思っています。

奥村 :除染をスキップできるかどうか、あるいは、医療やDMATがウォームゾーンに入るかどうかの最初の判断をどこがどうやって判断すべきかについて、吉岡先生はいかがでしょうか。

吉岡 :医療従事者が判断できるのは、投入されている医療班の数と被災者の数から、どのくらいまでの医療が可能かの可否判断をすることです。ただし、これだけで、ウォームゾーンでの医療を開始するかどうかを決めることはできません。もうひとつ別に、安全管理ということがあるからです。ですから、2つの観点ですので、どちらが判断するかではなくて、2つが話し合って決めるべき問題で、ここにも連携が大きく必要なのではないかと思います。

奥村 :かなり高い部分で判断すべきもの、それとも、むしろ現場でそういった判断は行なうべきもの、どれくらいのレベルということを想定されておられますか。

吉岡 :これは誰が判断しているのかといったら、本当は中山先生の詰めておられた、現地合同対策本部で決めているんですけれども、さらに上のレベルの許可を得ているというか、そういう形にならざるを得ないのかなと思っております。

大友 :我々の研究班の方から見ていても、そこのところ非常に気になっていました。どのように判断し、誰が指示したのかと、そこが見えなかったので、今後は、そこを確認したいなというのが一点です。イギリスではそういう最終的な判断が警察だということで、そのように決めているようですが、日本においてはどうあるべきかはまた今後検討が必要だと思います。

奥村 :滝川参事官どうですか。

滝川 :その辺についての枠組みを御説明しますと、一般災害で、災対法適用以前の話であれば、まさに現場と消防で話せばいいと思います。災対法になれば、市町村の医療対策本部なり、県対策本部になりますから、そこが一義的な責任者になります。もしこれがテロという事態になりますと、通常は国民保護法が適用される事態になって、この場合、救援の責任者は、都道府県知事になります。今、内閣官房の方では、医療サイドに寄った視点で、現場医療をやった場合にどこまでできるか。安全性確保で消防の協力なり管理も、どうやるべきかというのをやや医療サイドに寄った視点で検討してきています。更に、武力攻撃事態になるような外部からの攻撃の時に、捜査情報、安全情報、主体情報みたいなものをどうするかという問題があると思います。

奥村 :中山先生、いかがですか。

中山 :今まで普通の災害医療で3Tというのがございますけれども、やはり医療がウォームに入った時点で、トリアージとトリートメントを一部開始していくという中で、除染をどうするかという判断も、ある程度災害によって示せればいいと思います。ある程度の単純化した、例えばCテロの場合は、除染も含めたトリアージを少しシンプリファイして、コンセンサスを得れば、消防も含めて、ある程度ラインの流しがスムーズになるかなと思います。今はそれができていないために、さっきの誰が判断するのかということになってしまっていると思うので、その辺りを進めればいいのかなと思います。

北川原:先ほどの時間短縮の中で考えていくと、剤の特定によって、もしかしたら乾式すらいらない場合もあるのではないかなと素人ながら考えるのですが、一番の時間短縮の部分でいうと、是非、剤の特定と、こういう剤の時にはこういう除染が必要である、あるいはこういう手当てがされるべきというバックアップの様なものがあってリアルタイムに情報が周知されると、医療機関としてはとても助かるのではないかと思うのですが。

奥村 :情報的なバックアップに関しては、吉岡先生コメントございますでしょうか。

吉岡 :先ほどから問題になっている剤をどこまで区別するかということです。本当に除染が必要であるものは液体であるVXとびらん剤以外にないわけです。びらん剤というのは、恐らく可視的、視覚的に判断がつくものです。これら2類型以外のものは30数種類あります化学兵器の中でほぼ全て除染は不要なのです。すなわち、液体となってかけられたもの以外は、全て不要と考えて下さい。ですから、液体か気体かそういう判断だけするのであれば、それほど、検知までいかなくてもいいのではないかと思っております。非常に難しいところはありますし、いろいろな意見はあるかと思います。

奥村 :大友先生、いかがでしょうか。

大友 :この間、私のやらせていただいている専門家会合で、地下鉄サリン事件15年後にして明らかになったことは、茅場町の出動した救急隊が3人とも被爆していたということでした。これは、70歳代の男性のお尻にたくさんのサリンが付いている状態で運んでしまったために、皆さんかなり重い2次被害に遭っているということでした。液体が付いているときは他の物質でも水の除染は必要なんじゃないかなと思います。

吉岡 :液体はもちろん全部除染が必要です。化学兵器として使われているサリンというのは、化学兵器というのは、完全に気体にして空中に散布することができる兵器になったものを僕は指しています。

滝川 :よろしいでしょうか。液滴があれば、当然除染されるでしょうし、サリンの時の経験は、多分、衣服の間に気体が含まれていた人がいたので、脱衣はしてもらうのかなと思います。ちょっと違うスピードアップの話にしてもいいでしょうか。救助・救命のスピードをあげるには、まず消防のところで短くしていただく、もし現場で医療ができるならしていただく。更に一番大事なのは、きちんと救急搬送ができるかどうかだと思います。しかも多数傷病者の場合は、受け入れ先の病院を決めて適切に送っていくというところが、非常に大事だと思っていまして、その意味で今回、中山先生は兵庫県の災害医療センターで、もともとそういう意味での振り分けというか中核機能を持ったところですし、徳島の榊課長さんも危機管理部局にいらっしゃいますが、多分、そういう御意識をもって日頃から災害などを御覧になっていると思うので、そういう観点のコメントをいただけると、我々今後の訓練の組み立てを考える上で、非常にありがたいなと思うものです。

中山 :おっしゃる通りで、最後の搬送という中ではどの災害でもですけれど、マスカジュアリティ含めて、分散搬送というのがなかなかできないというのがよくあって、やはり近くに行ってしまう。しかも、こういう災害だと近くに歩いてくる人たちもいるわけで、そうすると除染その他で非常に忙しくなるという中、やはりそれを少しでも振り分けなくてはいけない、ということになると思います。受入れ状況を早く伝えるということで、知らせてもらうということをうまく使えば、分散搬送が可能になると思います。あとは足の確保ということもありますが、それには消防も入っております。

榊  :本県の訓練におきまして、今回、図上訓練の中では発災直後から、状況点を逐次把握することにおいて、被災者の状況をいち早く判断した上で、関係機関への連携、協力要請を最大限努めるようにしました。実際の時にはどこまでできるかという問題はございますが、そういう観点から今後も訓練をやっていきたいなと考えております。

大友 :今回で、ほぼ全ての都道府県の国民保護訓練が終わったということで、僕はこの国民保護訓練が、各都道府県もしくは担当した市、もしくは関係する消防の皆さんに対して、非常にポジティブな効能・効果を及ぼしていると思います。この国民保護訓練は、そういった意味でテロ対応とはいいながら、実は自然災害対応に関しても、非常にいい効果を及ぼしていると私は思っています。

奥村 :中山先生、いかがでしょうか。

中山 :ウォームゾーンに医療が入った場合、治療から何から何まで優先順位があると、今回皆で話していました。やはり、今回の訓練も鑑みて順番順位付けすると、解毒剤の投与、気道の確保、Vラインの確保といった順番で優先順位が高いのではないでしょうか。そういう中で、時間短縮をしながらも、時間稼ぎを繰り返しながらやっていくという路線ではと感じました。

奥村 :基本的な国民保護訓練における課題の時間短縮という部分も、消防と医療との連携という問題からは決して切り離せないものであるということが、議論の中で明らかになってまいりました。いずれにしましても、それぞれ訓練に関わられる都道府県の皆様方、あるいはそれぞれの機関の皆様方というのは、非常に多大なエネルギーを使っていただくことになると思いますが、その使ったエネルギーに対して、更にメリットのあるような、得られるものが大きい訓練を目指しておりますので、皆様何とぞよろしく御指導御鞭撻のほどお願い申し上げます。それでは皆様方、どうもありがとうございました。

     
 
  <参考リンク>
日本集団災害医学会ホームページ
http://square.umin.ac.jp/jadm/