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国民保護フォーラム2008
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「国民保護フォーラム2008」が9月9日(火)日本青年館大ホール(東京都新宿区)にて開催された。第3回目を迎えた今回の国民保護フォーラムでは、生物剤を用いたテロを中心にパネリストに議論していただいた。多くの方が来場し、国民保護に対して理解を深めた。
日時:
平成20年9月9日(火)19:00〜20:30
場所:
日本青年会館大ホール   新宿区霞ヶ丘町7番1号(神宮外苑)
主催:
内閣官房
登壇者:
【パネリスト】
東国原英夫 (宮崎県知事)
佐多徹太郎 (国立感染症研究所感染病理部長)
浦島 充佳 (東京慈恵会医科大学 准教授)
櫻井 修一 (内閣官房内閣審議官)
【コーディネーター】
宮崎 緑 千葉商科大学教授

町村 信孝 内閣官房長官 主催挨拶
今日の国際社会では、大規模なテロ、大量破壊兵器の拡散、弾道ミサイルなど、私たちを脅かす事態が世界中で発生しています。 武力攻撃事態等に備え、武力攻撃事態対処法や国民保護法に基づいて、国と地方自治体が連携して対処するということが定められていますが、同時に、国民の皆様一人ひとりが国民保護に対する意識を一層深め、有事に備えていただくことも重要です。 今回のフォーラムでは、感染症の専門家、着任早々県内で発生した鳥インフルエンザへの対応を指揮された宮崎県の東国原知事にご議論いただき、生物剤を用いたテロはもとより、新型インフルエンザへの備えについてもご理解を深めていただきたいと思います。
町村 信孝 内閣官房長官

パネルディスカルション
「NBCテロに対する備え〜生物テロ、その時に〜」
■宮崎:テロは、無差別に市民を巻き込み、社会の不安やパニックを引き起こす。その中でも今回は、生物剤を用いたテロ(以下、「Bテロ」という。)を中心に議論を進めていく。様々なリスクが私たちを取り囲んでおり、感染症に関しても、新型インフルエンザの発生が危惧されている。Bテロを含むテロや感染症に対する危機管理の現状について伺いたい。
宮崎 緑

■東国原:地方自治体の危機管理について話をしたい。就任当初の昨年1月に鳥インフルエンザがほぼ同時期に県内の3カ所で発生した。その時に、最初に頭によぎったのが、「テロ」という言葉。これは人為的なものではないかと疑心暗鬼にさえなったところ。早急に対処すべく、既存の防疫体制、指針、行動計画をもとに初動の防疫体制に当たった。  とにかく感染拡大を防がなければいけないと考え、焼却殺傷処分、鳥の移動制限を実施した。50日ほどで移動制限を解除し、鳥インフルエンザへの対応を終了した。今後、国内で鳥インフルエンザが発生した際には、このときの宮崎県の対応が宮崎モデルとしてマニュアルになるのではないかというくらい非常に迅速な対応ができた。
東国原 英夫

■櫻井:平成15年に制定された武力攻撃事態対処法では、我が国に対して外部からの武力攻撃が発生した場合、あるいは、Bテロを含む大規模テロなどの緊急対処事態が発生した場合は、国を挙げて対策を講じていくこととしている。平成16年に制定された国民保護法では、そのような場合に、国民の生命、身体、財産を保護し、国民に及ぼす影響を最小限にするための措置が定められている。武力攻撃事態等や緊急対処事態が発生した場合、行政機関が国民保護措置として住民に危険を知らせる、医療などの救援活動を行う、災害を防ぐ〜生物テロの場合であれば感染症の拡大を防止する手立てを取って、国民の生活を安定させ、安全と財産を守っていくことになる。  国民保護の制度は、武力攻撃事態など万一のための備えだが、自然災害や大規模な事故、更には、感染症に対する備えとしても十分に役立つものとなるので、皆さんのご理解とご協力をお願いしたい。

■宮崎:Bテロの場合、感染症の自然発生とどのような違いがあり、どう対処をすればよいか。

■浦島:2001年にアメリカで郵便物を使用した炭疽菌のテロがあった。しばらくして患者が何人か発生し、一定のピークを経て、忘れた頃に最後の患者が発生。しかも、5つの州にまたがって発生した。このように生物テロの場合には、一定の潜伏期間を経てから患者が発生し、しかもどの地域にどれくらい発生するのかが分からない。全体としてどの程度感染が拡大するのかが分からず、危機に陥っていることに気づきにくいというのが、他の化学剤テロや爆破テロとは違う点である。  同じような症状を訴えて集まる患者の異常集積を早期に検知することによって、対処が早くなり、被害の程度も低くすることができる。これは生物テロの場合だけではなく、新型インフルエンザにも共通した戦略になり得ると思う。

■宮崎:Bテロで使われる病原菌の特徴は。

■佐多:今、警戒しなければいけないBテロの病原体というのは、天然痘のように根絶されたもの、あるいは、医療関係者等に知られていない病気である。オウム真理教がサリンの散布の前に、ボツリヌス毒素や炭疽菌を用いたテロを企てていたのは記憶に新しい。  病原体が意図的に散布されたか否かは非常に判断が難しいが、Bテロに使用される病原体は、ミサイルや戦車、戦闘機と比べれば値段が安く、簡単に作ることができる。また、テロの発生を検知をするのが非常に難しく、その間に感染者が増えてしまうという特徴がある。あるいは、例えば、「天然痘ウイルスを○○にまいた」と言っただけで、実際にまかれていなくても様々なパニックが起きることが考えられる。  病原体は目に見えない。他のテロで使用が考えられる放射性物質や化学剤であれば、その場で原因物質や被害状況などが見える。生物剤のように見えないというのは非常に恐怖感がある。Bテロに気がつくためにはいつもと違うことが起こっていることを検知するということが大事である。
佐多 徹太郎

■宮崎:我が国でもBテロが発生するのか、その可能性を国はどのように考えているか。

■櫻井:生物剤や化学剤は、比較的安価に製造することが可能、また、持ち運びが容易であるという特徴もある。そのような点から生物剤や化学剤がテロリストによって使用される可能性はある。そのような可能性をできるだけ低くするために、テロリストが入国できないようにしたり、あるいは、危険な物質や細菌、ウイルスについて法規制により管理を厳重にし、容易に持ち出しや製造ができないようにしている。

■宮崎:感染症は、一つの場所にとどまらず、県域を越えていくことも考えられるが、どう対応するのか。

■東国原:広域連携が必要。情報交換なども重要になる。また、地方自治体と国の連携も必要になる。地方自治体は住民サービスに直結しているので、危機管理能力、リスクマネージメント、あるいは危機管理意識を啓発していかなければいけない。

■櫻井:生物剤で攻撃されて感染症を発症する場合、あるいは、自然に感染症を発症する場合、最初は、どちらとも判断がつかない形で発症するだろう。どちらなのか、いかに早く気づくか、また、早く気づいた人たちの情報をいかに早く集められるかが重要になる。それにより、病気そのものや感染者を分析して感染経路をつかむという対策を取らなければならない。これについては、感染症法や検疫法で初動の対応は十分とれるような法的枠組みがある。そして感染経路等がはっきりすれば、その感染経路を遮断する、あるいは警戒区域を定めたりすることもできる。  また、悪意を持って人為的に生物剤を散布したということが判明すれば、国民保護法を発動し、警報の発令や医療活動等救援活動の指示が可能となる。さらに、外国の医師や医薬品の緊急輸入の許可も可能となる。場合によって、都道府県知事は、自衛隊の国民保護等派遣を要請することも可能となる。

■宮崎:いち早く対処するためには、現場での迅速な対応が大切ではないかと思うが、どう考えるか。

■浦島:感染症は、最初の発見者が医師であることが多い。テロや新興感染症であるということを気がつかない可能性もある。ところが、感染者が発生してくるまでに時間がある。ある意味それを逆手に取れば、対処ができる。
浦島 充佳

■佐多:生物テロといわゆる一般の感染症は、人為的かそうではないかの違いがある。犯行声明が出るなどということがあれば、テロということがわかるが、発生した後の対処は、とにかく感染を拡大させないということに尽きる。国立感染症研究所には感染症の情報が集約され、常に感染症の発生をモニターしている。発生動向調査をきちんと実施することが大事である。その上で早く診断し、早く検査をして感染者を増やさないように対処しなければならない。また、家庭や企業で、どう対応するかを考えておくことも必要である。

■宮崎:市民の立場からの生物テロ対策というのはどういうことをすればいいのか。また、日頃からの備えはどうしたらいいのか。

■浦島:生物テロも含め、テロの目的は人々を怖がらせ、社会活動を停止させるということが主な目的である。特にヒトからヒトに感染をしない感染症であれば、日常生活を続け、き然とした態度で日本は大丈夫ということを一人ひとりが示し、テロリストに効果が無かったと思わせるくらいの気概を持つことが、大事だと思う。

■東国原:宮崎県の場合も早期発見が一番大きかった。鳥インフルエンザが出たと報告することは、農場の方にとっては倒産の覚悟も必要な大変なことだが、家畜保健衛生所に連絡いただいた。それが早期発見につながった。それからすぐ行動計画等に従って、県民総力戦で関係機関の協力の下すぐに行動に移せたということが、宮崎モデルといわれたものと思っている。  また、広域連携として、隣県からも応援をいただいた。一部の県職員を除いて、ほとんどの者が初めての対応だったが、日ごろの意識と、正しい情報をいかに早くつかむということで迅速な対応ができた。

■櫻井:テロでも何でもそうだが、ある日突然起きてからどうしようかと考えているのでは遅いわけで、あらかじめ計画をたてておく。さらに訓練をしておくということが、非常に大事になる。  国民保護に関しては、各都道府県と国が一緒になって、訓練を続けている。そのシナリオも化学剤を用いたテロやBテロも想定して訓練を行っている。訓練を通して、どういうところに着眼すべきかを考え、問題点を洗い出して、次に生かす。そして、万が一実際に起きた場合には、落ち着いて対応できるようにしておくということが重要と考えている。
櫻井 修一

■浦島:Bテロに備えるということは、新型インフルエンザを含む感染症に備えることにもつながるし、また、多くの患者が発生した場合の対処という意味では、地震であっても津波であっても共通点は多いと思う。一つに備えることは多くのことに備えるということになるので、図上訓練でも実動訓練でも訓練を行うことは非常に大事なことだと思う。

■佐多:テロとの戦いで重要なことは、準備をきちんとするということ。政府内での連携など随分よくなってきたと思うが、私が思うには連携がやはり難しいと感じている。一人で考えるだけでなく、多くの方々が訓練に参加して準備する必要がある。感染症というのは、個人が感染して病気になるが、そこから病院に行き、様々なレベルのところで多くの人と関係してしまうものである。そういうところで、人と人とのつながりであるチェーンが切れてしまったら、対応が遅れる。それをどのようにつなげていくのかが一番大きい問題と思う。

■宮崎:最後に一言づつお願いします。

■東国原:県民の生命と財産を守ることが自治体、国の一番大事な役割。国、自治体、あるいは住民の方々の連携が、今後も必要であり、それを整理しなければいけない。それとやはり、国民の意識を高めていただく。帰ったら早速、県民にどうやって意識を高めていただくか考えていきたい。県民の皆さんに、広く啓発運動もしていきたい。

■浦島:感染症は、最初の発見者が医師であることが多い。テロや新興感染症であるということを気がつかない可能性もある。ところが、感染者が発生してくるまでに時間がある。ある意味それを逆手に取れば、対処ができる。

■佐多:本当に生物テロが、リアリティーを持っているのかということは懐疑的な面もあるし、危機をどのように意識するか、あるいは、その意識を保つということは大変だと思う。ただ、準備というのが一番大事であるということは間違いない。  今後、国立感染症研究所だけでなく各都道府県の地方衛生研究所の方々にも参加していただいてネットワークを作っていくとか、あるいは臨床の医者をサポートできるような体制を作っていきたいと考えている。

■浦島:早期に発見するということが、Bテロでは難しいところであり、早期に気がつけば、いろいろ対策を立てて、犠牲者の数をかなり減らせるという特徴がある。早期発見に対して、そういった特殊なシグナルをシステムに取り入れることができれば、有効な対策になると思う。

■櫻井:生物テロに限らず、様々な攻撃があるが、それに対して行政も含め、国民一人ひとりが、いかに敏感に異変に気がつくかという感受性に磨きをかけていただくことが非常に重要なことだろうと思う。そういったことを積み重ね、有効な対策を目指す必要がある。  また、皆さんに心がけていただきたいこととして、パニックに陥らないことをお願いしたい。パニックに陥れば必要以上に怪我人が出たり、死者をふやすことになる。一人ひとりが落ち着いて対応し、国全体が落ち着いて対応していくということが大事である。

■宮崎:人は、未知のもの、あるいは、科学的に解明され尽くしていないものに対して、パニックを引き起こしやすい。だからこそ、日ごろから様々な情報に接しておき、自らの情報処理能力を高めるということが非常に必要であると感じた。本日はどうもありがとうございました。


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