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「国民保護フォーラム2007」(議事要旨)
テーマ:武力攻撃やテロなどから身を守るために


 1. 日時    2007年9月6日(木) 19:00〜20:30
 2. 場所   ニッショーホール (日本消防会館)
 3. 主催   内閣官房
 4. 登壇者     ご挨拶     与謝野 馨     内閣官房長官
    パネリスト   小川 和久   危機管理総合研究所長
        奥村 徹   佐賀大学危機管理医学教授
        堂本 暁子   千葉県知事
        井上 源三   内閣官房内閣審議官
    コーディネーター   宮崎 緑   千葉商科大学 教授




 ●与謝野 馨 内閣官房長官 主催挨拶
    与謝野 馨氏 外部からの武力攻撃に対し、我が国の平和と独立を守り国や国民の安全を保つために平成15年から16年にかけて有事法制を整備し、 武力攻撃やテロから国民の生命、身体、財産を保護するための国民保護法を制定しました。 武力攻撃やテロなどの緊急事態には、国や地方公共団体が全力で対応することはもちろん、 国民の皆様も、国や地方公共団体からの情報をふまえて冷静に行動していただき、 また日頃から備えていただくことが重要だと考えています。 そこで国民保護法の理解をさらに深め、国民一人ひとりが自分の問題として考え、 万が一の際に、適切に行動できるようになることを願い、国民保護フォーラムを開催することとしました。 皆様のご参加を心よりお礼申し上げます。


 ●パネルディスカッション

  「国民保護法」の施行から約三年、現在の取り組みとその実状」
  • 宮崎 自然災害とは異なる武力攻撃やテロという新たな脅威が出てきた。 まずは実際に起こりうる武力攻撃やテロによる緊急危機およびその危機管理の現状について伺いたい。


  • 小川 災害、事故、テロを含めた国の危機管理の形式は出来たものの、日本の消防、警察、自衛隊、自治体など、 国民の保護に携わる側の思想は未だ明確でないように思える。そういう意味では現在「形式から実質へ」の過渡期にあるのではないか。


  • 奥村  私は地下鉄サリン事件のとき、聖路加国際病院にて救援に取り組んでいた。 松本と東京地下鉄の両サリン事件は平和な日本で突然起きた、世界的にも稀な化学兵器テロである。 あれから10年、私達医療関係者は、この事例で日本が学び改善したこと、世界に提言すべきことについて常に考えてきた。


  • 堂本 参議院議員時代に参加したコソボに関する国際委員会で、「21世紀に入り、旧い戦争(old war)から新しい戦争(new war)の時代へ移行しつつある。 すなわち、宣戦布告のある戦争よりも民族や宗教を原因とした紛争が今の時代の暴力、戦いの主流になってきた」 という主張を聞き、私達日本人、そして千葉県知事としてもこの問題に取り組まなければならないと思った。


  • 宮崎 緑氏宮崎  政府としての取り組みはどうか?


  • 井上 平成16年の国民保護法成立後、平成17年に各計画のガイドラインとなる基本指針をとりまとめ、 全省庁と都道府県、指定公共機関(ライフライン、交通、通信、放送などの関係機関)も全て国民保護計画又は国民保護業務計画を策定。 また、市町村単位では9割以上、地方指定公共機関では8割以上が計画の策定終了。 さらに、国と地方公共団体指定団体との共同訓練、各種事態を想定したシミュレーションやマニュアルづくり、国民への広報啓発に取り組んできた。 「ホームページ国民保護法ポータルサイト」では、危機対応策を国民の皆さん向けにわかりやすく掲載している。


  • 宮崎 先ほどの「形式から実質へ」をもう少し詳しくお願いしたい。


  • 小川 和久氏小川  国の危機管理は、その取り組みへの難易度から基礎問題と応用問題に分け、順を追って取り組むべきだと思う。 災害や事故、医療ミスなどの「基礎問題」に相当する危機管理が機能するようにならなければ、武力攻撃や大規模テロなどの「応用問題」にあたる危機管理はできない。 日本の危機管理が機能し、国際的にも通用するものになるためには、机上演習、指揮所演習、実動訓練を定期的に行い、 洗い出された問題点からシステムの完成度をあげていく必要がある。形式だけに流れることなく、国には演習などへの積極的取り組みをお願いしたい。


  • 宮崎 日本の危機管理の国際的レベル等、国としての意識や対応に厳しい意見が出た。 では県単位の危機管理として、千葉県はどんな取り組みをしているのか。


  • 堂本 三方が海に囲まれ、敵の上陸や潜伏が容易な地理的要素に加え、 成田空港、幕張メッセやディズニーランド、京葉臨海コンビナートなどのターゲットとなりやすい要素が多々ある点からも、 千葉県は危機管理に非常に緊張感を持っている。初動体制が何よりも大事なので、成田での事件発生など、県が国より早く対応できる場合も考慮し、 県独自の初動体制を構築しなければなない。指揮系統の整備はもちろん、正確な情報の提示、防護服や生物兵器、化学兵器に対しての物理的な準備も整えておくべきだ。


  • 宮崎 国がイニシアティブをとるか、自治体が独自に動くのか。 情報の入手やその正誤判断、国と自治体の情報の共有など、意思決定の最高責任者が直接にすぐやりとりできるシステム構築に課題は残っている。 なかでも情報収集や現状把握はとても重要であるが、東京地下鉄サリン事件の際はどうであったか。


  • 奥村 徹氏奥村  救急医療関係者の間でもやはり情報の取り扱いが問題視されていた。 松本の時と違い、東京のサリン事件では信州大学の先生をはじめ、松本の事案に対応された先生方からの情報が非常に役に立った。 また自衛隊中央病院の医官の方や他の病院の先生方の救援もあった。 ただしそれは、その人たちの善意の賜物なので、今後はきちんとしたシステムとして、必要情報が確実に届くようにしなければならない。 情報が確定的でない段階から簡易な検知情報が得られるようになるなど、色々なシステムが出来たので、これからはいかに魂を入れていくか、 ということが問われてきている。


  • 井上 政府も情報収集には大変力を入れている。24時間体制の情報集約センター及び危機管理センターを設け、 地震があれば、30分以内で関係省庁の局長がただちに集まるという態勢を取っている。


  • 小川 情報集約の取り組みは評価するが、幹部が早期に集まるだけではなく、情報を取りに行くチームが即座に動けなければ、意味がない。 また、国からの情報や指示が来るのに時間がかかることを考えると、県や市町村の現場に一定レベルの対処をできる能力と権限が与えられていなければ、 指示待ちになってしまう。以前から私が指摘している官邸は現場からの情報を待ち、現場は上からの指示を待つという「ひな鳥症候群」は改善されたのか。


  • 井上 情報の速やかな収集のため、その経路はもちろん、ヘリコプター手配や政府の調査団派遣など、改善の努力はしている。 また自然災害における対処の法的権限は、基本的には市町村長等の地元自治体にある。 ゆえに国民保護法の適用はないものの、災害対策基本法や消防法、警察官職務執行法などの法律を適用して、速やかに地元自治体に対応していただくようお願いしたい。


  • 堂本 暁子氏堂本  国からの指示に時間がかかる場合を考慮し、都道府県や市町村は、事態の判断、避難誘導の計画、システムをつくり、 シミュレーション等で対策を徹底しておかなければならない。千葉県では横断的な連携をとり、的確な情報収集を心がけている。 情報を得て、政治家が即座に判断するだけでなく先を想定した総合的な判断を行い、指示できるようになる訓練も必要だろう。


  • 奥村 危機的な状況に陥ったとき、いかに専門家として適切な情報を提供できるかが問われている。 常日頃から患者さんに起きたことを正しく、隠さず、分かりやすく話すという部分では、この10年で医療界も改善されてきたと思う。 また、生物剤を探知するための器材を予め設置しておき、異常なものがまかれた段階から検知していく、文部科学省との開発プロジェクトも進んでいる。


  • 堂本 提供される情報の質や量も問題だと思う。


  • 井上  電話やファックスに加え、光ファイバーを利用したLANを駆使し、 対策本部長である総理大臣や知事が的確な判断をできる質・量の情報を速やかに提供するのが危機管理スタッフの務めである。 経験のないスタッフでも事態の予測ができるよう、積極的に疑似の経験、訓練をして体制・対応をつくっていきたい。 また訓練で見出された課題教訓は、共有化を図れるよう都道府県間のネットワークづくりにも注力している。


  • 井上 源三氏宮崎 情報はなくても困るが、多すぎても雑音になってしまう。的確な判断をするのに必要な情報をどう的確に集めるかが、 大きなハードルになるのかもしれない。


  • 小川 だからこそ日本版NSC(国家安全保障会議)という司令塔が必要となるだろう。 NSCは官僚機構の能力の発揮、情報要求を含む情報サイクル、地方自治体や重要インフラ産業との関係においても、とても重要なものである。


  • 宮崎 司令塔ができ、システムが機能しても、私達、国民の自覚、行動がなければ、対応ができない。 私達国民一人一人が、どのように動いたらいいのかが重要な課題であるが、この点をどのようにお考えか。


  • 奥村 日本はNBC(核物質・生物剤・化学剤)をすべて経験しているにも関わらず、 その経験を国際社会のために生かす動機付けが薄らいできているではないか。自ら銃をもって家族を護る欧米文化とは異なるとしても、 農耕民族の天変地異をそのまま受け入れがちな日本文化では、自ら降りかかってきた災難と戦う意識が薄いように思う。 有毒ガスが死亡に結びつく火災や化学工場事故など、普段からの化学災害対策の情報収集や危機対応品の完備など、 国の公助システムだけに頼らず、自助・互助として、自ら自分や家族を護る気持ちを持つことが重要である。


  • 堂本 国として体制を整備していくことはもちろん、全ての日本人が危機管理に真剣になるよう、上手に啓蒙啓発することが今後の課題であろう。


  • 小川 日本の危機管理が世界的レベルに達しているのかのチェックを絶えることなくやらなければいけないと思う。


  • 井上 国民保護の体制やNBC対策の地域のネットワーク、そして全国のネットワークづくりに取り組むことが、日本全体の危機管理能力をさらに向上させると思う。引き続き、本日の専門家の先生方、知事さんにはお力添えを賜りたい。