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「国民保護フォーラム2006」(議事要旨)
テーマ:武力攻撃やテロなどから身を守るために

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 1. 日時    平成18年7月19日(水) 19:00〜20:30
 2. 場所   明治大学アカデミーホール
 3. 登壇者     ご挨拶     沓掛 哲男     有事法制担当大臣(兼国家公安委員会委員長、内閣府特命担当大臣(防災))
    パネリスト   志方 俊之   元陸上自衛隊北部方面総監・帝京大学教授
        飯星 景子   エッセイスト・タレント
        福井 晴敏   作家
        片山 善博   鳥取県知事
        井上 源三   内閣官房内閣審議官
    コーディネーター   宮崎 緑   千葉商科大学 教授



 ●沓掛哲男有事法制担当大臣 主催挨拶

  • 写真:沓掛哲男有事法制担当大臣私は有事法制担当大臣、国家公安委員長、防災担当大臣の3つを兼務し、様々な危機から国民の生命、身体、財産を守るための仕事をしている。
  • 本日は、有事法制担当大臣としてご挨拶させていただきたい。本日は、皆さまお忙しい中にも関わらずご来場いただき、心より感謝している。主催者を代表して、厚く御礼申し上げる。
  • わが国を取り巻く安全保障環境については、わが国に対する本格的な侵略事態発生の可能性は低いと考えているが、今般の北朝鮮の弾道ミサイル発射などの事案が発生しており、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散、あるいは国際的なテロ組織の活動など、新たな脅威や多様な事態への的確な対応、対処が、現在差し迫った課題となっている。
  • わが国に対する外部からの武力攻撃などに際し、わが国の平和と独立を守り、国や国民の安全を保つために必要な法制を整備することは、国家として当然の責務であり、平成15年から16年にかけて、有事法制を整備した。
  • 武力攻撃事態対処法は、わが国が武力で攻撃された場合にどう対処するのか、ということに関するものである。同時に、国民をどういうふうに守っていくのか、という国民保護法の整備も必要だ。それで、武力攻撃事態対処法や国民保護法が成立した。
  • 国民保護法は、武力攻撃やテロから国民の生命、身体、財産を守ると共に、国民生活や国民経済に及ぼす影響をミニマムにする、という趣旨から立法された。
  • 写真:沓掛哲男有事法制担当大臣武力攻撃やテロなどの緊急事態に対し、国や地方公共団体が全力を挙げて対応するのは当然だが、国民の皆さまも、国や地方公共団体からの情報や指示を踏まえて、みんなで力を合わせて、冷静に対応していただくことが重要だ。そのためには平素から啓発活動を行うことが大切で、今回のフォーラムもその一翼を担うものだ。
  • 有事における国民保護のため、各省庁や都道府県では、国民保護計画を昨年度末までに策定を完了した。今年度からは、市町村の国民保護計画や指定地方公共機関等の国民保護業務計画が策定されつつある。
  • 国民の皆さまには、一人一人が自分の問題として国民保護を考えていただきたい。本日のフォーラムがそのための有意義な機会となれば幸い、と考えている。
  • 武力攻撃やテロなどの緊急事態に対して迅速、且つ的確に対処することは、国の重要な責務であり、今後とも関係省庁と連携を十分にとりつつ、政府一丸となって取り組んでいく。これからも皆様方のこの問題への一層の関心と、ご協力を賜ることをお願いし、私の挨拶とさせていただく。
写真
コーディネーター 宮崎 緑

 第一部
 ●井上源三氏 国民保護に関する説明 資料:「国民保護について(PDF形式)
  • 国民保護とは、武力攻撃や大規模テロがあった場合に、国を中心として地方公共団体、関係機関などが協力をして住民を守るための仕組みであり、大きな柱が3つある。
  • 1つ目は、できるだけ早く国民、住民の方々に安全な場所へ避難していただくことだ。2つ目は、被害を受けた方々、避難をされた方々の救援として、医療を施す、避難場所を提供する、水や食料を確保するなどだ。3つ目は、被害最小化のための取り組みとして、火事が起これば火を消す、サリンが撒かれればそれの対応をする、危ないところがあれば立入禁止区域を設ける、といったことを警察、消防、自衛隊が行うことだ。こうしたことは地震があった時に地方公共団体がすることと基本的に変わりはない。
  • 自然災害の場合は、国、地方公共団体の動きが災害対策基本法という法律により定められているが、武力攻撃やテロの場合は、それらを定める法律がなかったので、国民保護法が作られた。
  • 有事法制には10の法律があり、その中でも重要な法律が2つある。1つは武力攻撃事態対処法、もう1つが国民保護法だ。
  • 武力攻撃事態対処法は、戦争等が起こった場合に、わが国としてどのように意思を決定していくのか、対応方針をどのように決めるのか、国会の関与をどうするか等の手続を定めているほか、有事の際でも基本的人権を尊重すること、国民の方々にできるだけ情報を提供すること、国連や国際社会の理解と協力を求めること、などの基本理念が定められている。
  • 写真:井上源三氏有事法制にはさまざまな議論があり、戦争をするための法律ではないか、という意見もあったが、そういうものではない。武力攻撃やテロが起こった時の国や地方公共団体の対応を、平和な時にあらかじめ定めておくものだ。
  • 有事の事態はなかなか起こらないと考えている人もいるかもしれない。どういう事態を考えるのか、国内外の事件を見てみる。
  • 7月5日に北朝鮮のミサイルの発射事案があった。1998年にはミサイル「テポドン1号」が日本を越えて、太平洋にその一部が落ちた。2001年には九州の南西海域に不審船が現れ、海上保安庁の巡視船が不審船を射撃し、結果的に沈没した。また、今から10年以上前には地下鉄サリン事件があった。海外では、アメリカの同時多発テロ、その際に炭素菌のテロも発生した。スペイン、ロンドン、バリ島では爆破事件等が発生している。
  • こういうことは起こってはならないが、わが国において同様のことが起こらないという可能性はない。外交努力、国際協調を行って、平和な国を維持することが我々の務めではあるが、万が一、起こった時の対応も必要だ。
  • 武力攻撃やテロに関して、基本指針においてそれぞれ4つの類型を想定した。1つは着上陸侵攻、1つは航空機による攻撃、いわゆる空襲、1つは弾道ミサイル、1つはゲリラ・特殊部隊攻撃だ。冷戦後、着上陸侵攻や空襲の可能性は、これまでに比べて低減したと言われるが、弾道ミサイル、ゲリラ・特殊部隊、大量破壊兵器の使用等、新たな脅威が発生している。
  • 緊急対処事態とは、いわゆる大規模なテロのことだ。
  • 原子力発電所や石油コンビナートなど危険なものを内在する施設の攻撃、駅などの人がたくさん集まるところに対する攻撃、生物剤や化学剤の散布、9.11のような飛行機の自爆テロなどである。
  • 有事における国の対応は、永田町の総理官邸の地下にある内閣情報集約センター、官邸危機管理センターにおいて、24時間体制で行う。緊急事態が発生すると、そこにさまざまな情報が集められ、直ちに官邸対策室が立ち上げられる。
  • 緊急参集チームといって関係省庁の局長級の人間は30分以内に集まるというルールがあり、その上で関係閣僚が集まり、また、総理大臣が議長であり国の安全保障の重要なことを決める安全保障会議が開かれる。
  • そして、閣議で武力攻撃事態の認定や緊急対処事態の認定、対処方針の決定が行われ、その後、総理大臣が本部長となる対策本部を設置していく。
  • 7月5日のミサイル事案は、わが国に対する武力攻撃事態、緊急対処事態と見なしておらず、事態認定は行っていない。しかし、米軍等からの情報を得て、直ちに官邸対策室を立ち上げ、直ちに官房長官、防衛庁長官、外務大臣が集まり状況の確認を行い、それを受けて官房長官が記者会見をした。
  • その後、安全保障会議を開催し、政府としての当面の対応と考え方を決め、これを踏まえて官房長官が記者会見を行った。次に、特定船舶の入港禁止の手続きのために持ち回り閣議をし、その後再度、安全保障会議を開催して、政府としての対北朝鮮の制裁措置を定め、改めて官房長官記者会見が開かれた。
  • 写真:井上源三氏これがもし、武力攻撃事態、緊急対処事態であれば、その後、事態の認定、対処方針の決定、政府対策本部の設置、などが続いていくということになる。
  • 事態認定の際は、国から都道府県、そして市町村へ指示が出される。地震や洪水の際は、まず市町村が動き、対応しきれない時に都道府県が動き、その後国が動く。武力攻撃事態や緊急対処事態の際には、国が中心となって対応するという点が、基本的に違う。
  • しかし、例えば駅のホームでバタバタと人が倒れていく、といったような場合は、それが事件なのか、事故なのか、テロなのか、戦争なのか、直ちにはわからないため、とりあえず消防や警察が駆けつける。必要に応じて、自衛隊が災害派遣等で出動し、地方公共団体が中心になって対応する。
  • 他方、国では様々なところから情報を収集し、例えば、ある国が日本を攻撃する意図を持って行っているということ等を確認して武力攻撃事態として認定していく。いずれにしても、国と地方公共団体が、緻密に連携していく必要がある。
  • さまざまな事態に対する行動は、アウトラインだが基本指針で決めている。例えば、弾道ミサイルが日本国の領土や領海に飛んでくる場合は、できるだけ早く警報を発令するのが基本だ。あまり知られていないが国民保護のためのサイレンがある。防災無線等から鳴らして、住民の方々には、まず屋内に避難をしてもらう。
  • 湾岸戦争の時、イラクがイスラエルに6週間で40発くらいのスカッドミサイル等を撃ち込んだが、直接的な死者は2名だったと言われている。イスラエル政府が、ミサイルが発射されて着弾するまでの間に、国民に対してサイレンを鳴らし、できる限り強固な建物に避難をしてもらうことを徹底させたのが、被害を少なくした一つの要因だと言われている。
  • 撃ち込まれたミサイルの弾頭に、生物兵器や核兵器が積まれている場合もあるので、その時の状況を確認したうえで、どのように避難をしていただくかを決めることとなる。
  • 昨年3月にそれらを定めた基本指針を作った。それをベースに各省庁、47都道府県、159の電気、ガス、輸送、放送会社等の指定公共機関が、計画を作っている。今年度は、1800以上ある市町村、1000以上ある地方の指定公共機関で計画を作ってもらうことになっている。
  • 国民保護ポータルサイトを設けており、そこでサイレンも聞くことができる。「武力攻撃やテロなどから身を守るために(PDF形式)」というお手元にあるパンフレットも作った。有事法制に関する政府の取り組み等も掲載してあるので、ご自宅にお帰りになった後、お暇な時にご覧になっていただきたい。

 ●志方俊之氏 有事法制の整備意識
  • 写真:志方俊之氏有事法制を整備することの意義は大きく3つある。1つは、政府が決断する対応が順当なものになることだ。1つは、誰が国のリーダーになっても在る法は超えられず、有事に名を借りて国民にいろいろな制約をかけることができないため、国民にとって安心感を与えられることだ。1つは、日本は国を守るためには動くが攻めることはない、ということを国際的に表明できるので対外的に安心感を与えられるし、逆に攻めてこようとする組織に対しては、日本の備えを示せるので抑止力にもなることだ。
  • 有事法制は、危険なことを考えるためのものではない。危険なことを想定しておいて、本当に物事が起こった時に冷静な対応ができるためのもの、国民が安心して政府の決断を迎え入れ、協力できるためのもの、外国諸国が日本は攻めてこないという安心感と、攻めても無駄だという抑止力をもつためのものだ。
  • しっかりした法律を作っておいても、実際にはもっと新しく違ったことが起こる。しかし、その時でも法律があれば、該当する箇所、もしくは近い内容があるため、あまり慌てふためくことがなくなる。
  • また、法律があれば、国民保護訓練もできる。訓練によりこの法律の不備もわかるし、国民としてどういう協力の方法があるのかもだんだんわかってくるので、国民保護法の中身が詰まってくる。
  • 有事法制は、絶対に作っておかなくてはならないと、考えている。

 ●福井晴敏氏 日本安全神話の危機
  • 写真:福井晴敏氏「亡国のイージス」という小説で自衛隊や国の問題を扱った際、いろいろ調べて驚いたのが、国民保護法のようなものが国にはあり、どこかの国が攻めてきても誰かがうまく全部やってくれるようにできている、と幼少の頃から無条件に思っていたが、日本にはそういったことが全然できていなかったということだ。
  • アメリカの映画みたいに米軍が出てきて全部解決、とやればスカッといくが、日本の場合はそれができないということがわかったので、できないということをテーマにしてお話を作ってみた。最近作の「オペレーションローズダスト」で、初めて国民保護法を調べて、現在ここに呼ばれている。
  • そういう意味ではまるっきり付け焼刃の知識なので、あまりえらそうなことは言えないが、自分で調べて小説という空間で国民保護法を動かしてみてわかったことがある。それは本当に単純で、助け合いの精神をどう持つか、ということだ。
  • 災害の際に我々が咄嗟に思いがちなのは、国がどのように守ってくれるのか、ということだが、そうではなくて、我々に何ができるかを考えることだ。どうやって自分がその事態にコミットしていけばいいのか、ということを考えていかないと、この国民保護法は機能しづらいところがあると思う。
  • 例えば、この間のミサイルにしても、撃った後にどこへ飛んでいくのかは、発射した後じゃないとわからないので、完全に備えるということは無理だ。だから、全て法律の字面で設定するのではなく、モラルの問題として、いかに臨機応変に、且つ助け合いの精神で動けるかが大切だ。
  • 少なくとも隣人のことを知り、何か事がおこった際に気にかけて動ける、というようなことが、国民保護法を機能させる第一歩だと思っている。

 ●片山善博氏 地方公共団体にとっての国民保護
  • 写真:片山善博氏数年前に鹿児島沖に現れた北朝鮮の不審船と海上保安庁の巡視船が銃撃戦になって自沈した事件が、人ごととは思えなかったのがきっかけで、国民保護を真剣に考えるようになった。
  • あの事件は海上で終結したが、私が知事をしている鳥取県の沖合、日本海山陰沖で同様の事件が発生したとして、しかもあれが海上で終結せずに陸上へ展開した場合、一体どうしたらよいのかを自分で考えた。
  • 私のような立場の者は、教育や文化や福祉といったさまざまな仕事をしており、それぞれが重要だが、一番重要なミッションは、いざという時に住民の皆さんの生命、身体、できれば財産までの安全を確保することだと思う。
  • 自然災害でも有事の時でも、いざという時に全然力が発揮できず、いたずらに被害が拡大して大きな犠牲が出れば、通常の仕事で本当に評価の高い仕事をしていたとしても、失格と言われるだろうと思う。
  • 自然災害の場合は災害対策基本法があり、知事が自らトップになって災害復旧とか災害応急対策をしなくてはならない。ミッションが明確であり、指揮権がある。しかし、自然災害ではない有事の場合、国民保護法制ができるまでは、知事にはミッションも権限もなかった。
  • 自然災害の場合は、鳥取県でも何年か前にあった大きな地震など、経験の蓄積がかなりある。しかし、有事の場合は、我々の世代では経験が無い。
  • 自然災害とは違って、有事には相手に意図や悪意、明確な意思がある。また、台風は過ぎ去れば終わりだし、地震は発生後の余震に気をつけておけばいいが、有事の場合は一回では終わらず継続することもある。
  • 有事の場合、自衛隊は正面で行動することが通常だ。住民の皆さんの避難、誘導に自衛隊をあてにできないため、自前で対応をしなければいけない。これが自然災害と随分違うところだ。
  • しかし、有事の時の対応をちゃんとできる体制が、自治体レベルに備わっていない。防災面で市町村の消防機関を随分強化してきて立派な機関になってはいるが、その反面で自治体の首長部局における対応能力が、かなり低下している。防災が消防だと割り切ったため、市町村長部局の方では空洞化現象が起きている。
  • もう少し住民の皆さんの安全などを考える機能を、消防だけではなく、首長部局でも持っておかなくてはいけない。それを前提にしながら、連携をするという課題を新たに抱えて解決をしていくというが、今の当面の課題である。

 ●飯星景子氏 国民の抱く疑問や不安について
  • 写真:飯星景子氏それぞれの立場のご意見が、今日はたくさん伺えると思って楽しみにしているが、できるだけ皆さんが思っている疑問などを、私が代わりに質問する機会があればいいとも思っている。
  • 平和ボケ日本などとよく言われるが、実際のところは北東アジアを巡る情勢を筆頭に、日本にとっての不安材料は、今、たくさんあると思う。
  • 先日発射された北朝鮮のミサイルについて、日本では冷静に受け止めているのか、大丈夫だと高をくくっているのか、街がパニックにもならなかった。むしろ、海外に住む他の国の友人たちがそれぞれの国の報道を見て反応を示し、日本人の方が反応の強さに驚いた、というあまり笑えない話もある。
  • どんなに楽天的に過ごしていても、いつ突然どんなことが起こるかわからない世の中になっているということは、例え怖いから考えたくない、という人でも、薄々感じている時代だとは思う。
  • 人間の脳内には、パニックになると冷静な判断を鈍らせてしまう物質が出てしまうことがある。
  • もし、日本が大変な事態に陥ってしまったら、例えば私が目の前で起こっていることを、冷静に早く判断して、果たして自分の身を守ることができるのか、と聞かれたら、正直なところ全く自信が無い。
  • 2004年に有事関連法案の1つとして、国民保護法というのが成立したが、この国民保護法という名前から、何か事が起こったら国民を保護してくれる法律、というイメージを与え、勘違いしそうな気がする。この名前が良くなかったのではないかとも思う。
  • 国民保護法が一体どんな法律で、私たちは一体何を求められているのか、今日は国民の一人として勉強させていただきたいと思っている。
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